書物蔵

古本オモシロガリズム

納本

永井久一郎(荷風のパパ)の偉さ――近代図書館のホントウの始まり

明治5年に湯島聖堂に「書籍館」が出来て、日本ではじめての近代図書館になった話は誰でも知っている。 が。 それらをまねて各県でできた県書籍館たちは、みなみな明治10年代末には絶滅してしまったことは、いままで専門家しか知らんかった。通俗図書館史…

届出書省略の許可証を見る

池袋、神保町、高円寺と、実は大変忙しい。 本来の研究が進まぬ困った∩(・∀・)∩ それはそうとツイッターで重要な資料を見せてもらったのでここに引用する。内務省警保局図書課からの通知文書。出版法第10条による指定の出版物(この文書の場合は雑誌)が納本で…

エロ本はどこに入るのか

3日午前1時記載。 さっきツイートしたことは、実は金曜に兵務局さん相手に論文の材料とて語ったことがネタになっとんのぢゃ。 読書史を考える時、教育:教科書、副読本 学問:人文書、学術書 仕事:技術書、法令集、医書 生活:料理書、大工入門、家庭医学 …

最後の押印は「21.2.7」あたり:内務省が納本を諦めた時期について

これは隠し球にとっておいたんぢゃが、手許の古本を見るに、内務省受付印がある戦後出版物を一つ持っている。 実はこれ、あるシリーズのひとつで、一括して古書展で売られていたもの。このシリーズ一括で出てたところがミソで。 いちばん遅い日付のものを買…

同じ文章を実務から読むと…カストリ雑誌は無届出版だった

昭和20、21年で、納本の制度史的な結論は出たんだけれど、添田の日記は、もっと納本実務としても読める。 添田がどうやって「図書係」の席へ行き着いたか。 まず「内務省の正面中央廊下を教へられた通りゆく。部屋がない。うろうろしてから、」とあるのだか…

昭和帝のあの写真がどったんばったんを?:納本はいつまで行われていたか

畏友オタどんが、また日記からオモシロな記述を報告してくれた(´・ω・)ノ jyunku.hatenablog.com 添田知道『空襲下日記』(刀水書房1984)から、昭和20年と21年に、内務省につとめる友人の吏員を訪ねた際の記述。 オタどんブログからちと転載(。・_・。)ノ …

みなさん納本刷りに気づきはじめてゐた

書物のリヴァース・エンジニアリング(第1回)『地上の祭』、見果てぬ夢の形見 雑誌記事 片塩 二朗, 田中 栞, 郡 淳一郎 掲載誌 初版本 ([1]) 2007.7 p.66~77これのp.74で「納本刷り」にあたるものについて言及されている。 田中 そう、各種の証言を参照する…

納本実行が発売日の後になる傾向があったといふ証言

出版法新聞紙法に依る内務省等への書籍雑誌の納本日繰上を希望 従来所轄官庁への定期並に不定期出版物納本は日配搬入後或は発売日の後に行はれる向きもありましたが、発売後に発禁処分削除処分又は一部訂正処分等に接すると、日配としても小売店としてもそれ…

梅原北明と暗黒通信団の対比

書物蔵‏@shomotsubugyo 5 時間5 時間前書物蔵さんが裏庭映画保存会をリツイートしました「心の糧のはずだった収集方面で心の穴が満たされないと思った的理由が結構多く」 ほへー(・o・;)書物蔵さんが追加 裏庭映画保存会@uraniwamoviecom ビンテージ昭和漫…

方形印:納本不足 「別紙カード」

鳥谷幡山 著. 十和田湖を中心に神代史蹟たる霊山聖地之発見と竹内古文献実証踏査に就て併せて猶太聖者イエスキリストの王国(アマツクニ)たる吾邦に渡来隠棲の事蹟を述ぶ. 新古美術社, 昭和11.3. 44p 【特501-173】 表紙 丸印:内務省/11.4.15/(普通出版)…

納本刷りについての初期知見

苦学生「悪しき見本を第一に公衆に示す書籍発行者」『図書館雑誌』(3)p.38-39(1908.6) 法律の結果による二部納本には、完全な本を出す発行者もあるが、甚しきあしき本を出すものがあるといふのである。 まづ新出版があったとき、帝国図書館へかけつけて見…

キミねぇ〜 かういった心づもりで雑誌を出すんだったら、

柴野先生の論文を読んでたら、オモシロな記述を見つけた。同志社で戦後、ドイツ流新聞学を展開した和田洋一の回想。 和田洋一「「世界文化」同人の体験--ねずまさしの回想にふれて」『思想』(633)p428〜437(1977年03月) 創刊号が刷りあがったあと、編集…

名簿など灰色文献を保存すべきはどこか。

田中一郎/名無しの編集総務さん ‏@ralutake8社が取り扱う個人情報は、学校の同窓会や団体会員などの名簿冊子と電子データの2種類。古書店や廃棄物回収業者、個人、同業者などから購入していた。個人情報:3億件管理 1件2〜30円で販売 消費者庁、名簿…

内務省検閲原本2

最初はこの片々たる1枚もの。 東湖先生と正気歌. 大日本正気会. 1937.1 一枚 東湖先生と正気歌 昭和十人年一月十日印刷納本 昭和十二年一月十五日発行(定価金五銭) 不許複製 編輯発行兼印刷人 立林宮太郎 茨城県茨城郡河和田村大字赤塚三七五 修史館 発行…

これはマズイな(゜〜゜ ) 本が集まらなくなるのでは…(-∀-;) ん?(・ω・。) それが狙いかぁ(・∀・`;)

昨日、ツイッターで気付いたんだけど… へー、こんな処分通知書、初めてみた(・o・;) / “15/02/20:「カバーしかない本」国会図書館収蔵不可 :暗黒通信団” URL2015-04-12 21:29:14 via Hatenaどうやら、同人誌出版者たる任意団体?暗黒通信団が、その刊行した…

太田真舟=八木福次郎説について

一般の方々へ 発禁がらみのこのエントリの続きだす(´・ω・)ノ http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20150301 人魚の嘆き様へ お久しぶりです。返事が遅れすみません。 さて標記の件ですが、現在のところ福次郎説は取り下げようと思います。ただ福次郎さんが…

てっちゃんよりの来かん(2016.4.3追記)

太田某氏S50執筆「納本事務の件」とりあえず「不明」。当時法人でなくてたぶん〓見の文、八木さんのいう(当時知りたくない?とかいった「太田氏」だれなのか(通信常連のおも四郎氏は小生には師筋にありて、よい慶應出版社の太田臨一郎氏一〇二歳だがまだ生…

古今書院、訂正多過ぎ(σ^〜^)  ん?(・ω・。) いや昭和10年、奥付の発行日(^-^;)

きのふの人魚の嘆きさんのコメントを見てたら、真船の正体の問題とは別の問題として、いろいろオモシロい考えがうかんできた。 やっぱり一人ぢゃなく二人でかけあいをすると考えが広がるっちo(^o^o) いやー、人魚さんがこなかったら、こがいなオモシロな気…

太田真舟は誰か、について

いやサ、次の文献がわちきの呼号せる近代書誌学のある場面で実はとっても重要なんだけど、実はどんな人が書いたのか、まったく不明だったのである。 太田真舟「戦前の納本・検閲:内務省の発禁本について」『日本古書通信』40(10) [1975.10] p.5-7 で、わち…

おっちょこちょいな大阪府警(σ^〜^)と内務省の構内電話o(^o^o)

おっちょこちょいな大阪府警(σ^〜^) 拙ブログの読者ならバ、ちょっとまへ「おそらく現存最古の発禁処分の命令書。1921(T10)年6月16日『国民新聞』」といふものが話題を呼んだのを憶えてをらう(σ・∀・)σ 発禁するのぢゃー http://d.hatena.ne.jp/shomotsubu…

「○年○月○日印刷納本」といふ印刷

実務書の批判的読み解き やっぱり現場系の書物、ってかある種の実務書、実用書を、読み飛ばすのではなく、じっくり分析的に読むのってーのは必要なんだなぁ… 法定文字や奥付に刷り込まれたる「○日印刷」ならぬ「○日印刷納本」といふ印字。これは実定法上の義…

フル本こそルフ本!`・ω・´)o:「納本刷」と流布本の関係

土曜深夜に読んだ古書通信、川島幸希論文のつづき。このまへの拙エントリでははしょっちゃった川島論文のすごいとこをズバリ古本ブロガーたる漁書日誌さんが指摘してゐる(σ・∀・)σ 川島幸希「『月に吠える』の論文」が出た http://d.hatena.ne.jp/taqueshix/…

アナ作家・望月百合子が語る納本異聞 かきかけ

さういへばこの雑誌はヌ氏に譲ってもらったんぢゃったっけ。 『痴遊雑誌』昭和十一年三月号 これに戦前納本史上、むちゃくちゃオモシロい記事が載ってをる(´・ω・)ノ 望月百合子「納本異聞」『痴遊雑誌』 昭和十一年三月号) 望月, 百合子, 1900-2001 || モ…

日本帝国は、仁愛と信義に生き、世界人類の平和と進歩に貢献せよ

ん?(・ω・。) わちきのことばぢゃない(・∀・`;) かの上森シテツの言葉。 上森子鐵「映畫法廢棄の提唱」『新映画』2(4)pp2〜4(1945-09) 〜いまやわれらが日本帝国は、武器なき国家として、祖国の興隆は民族の英知によって、仁愛と信義に生きもって世界人類…

ほんと、みんなよー見つけよーつけるよ(・∀・`;) 饅頭本(*´д`)ノ

出版史の周辺にいる友人らがかやうな本につきわいわいと(^-^*) 廣瀬徳二の思い出 廣瀬芳子、 1979 初函314頁、小学館時代他 本郷保雄/横山光輝/赤塚不二夫/藤子不二雄、金沢文圃閣 6,680円 本郷保雄は『主婦の友』全盛期を作った編集者。 ほんと、みんな…

読売「今日の新刊」欄は1925.4.1から

某図書館にて閲覧したる「今日の新刊」の新切(しんきり;新聞切抜)のことが頭をはなれず、ちと調べてみたら、ちゃんとこの欄の連載最初に口上書きがあった。 読売新聞が東京書籍小組合の指定新聞に指定されたことは過日の社告通りである。従って本紙は本日…

国会図書館が納本拒否をしていると朝日新聞投書にあった(・o・;)

声)国会図書館に納本できず残念 / 会社員 茂木房夫(神奈川県 56) 自費出版したエッセー集を国会図書館に納本しようと出かけたが、受け付けてもらえなかった。昨年10月に別の自費出版本を持ち込んだときは、納本できたのだが、残念でならない。 今回、…

ある発禁事例 大正13年

「佐々木味津三氏著『二人の異端者』辛うじて発売禁止を免がる!(聚芳閣出版だより)」『文学界』1(2) p.〔67〕(1924.11) ○佐々木味津三氏著『二人の異端者』辛うじて発売禁止を免がる! 九月二十九日に突然内務省の出版課〔ママ〕から電話が「二人の異端…

めも

「〔資料〕文芸通信の取締に就て」『出版警察報』(73) p.- (1934年10月) 「内務省納本全覧(五)」『書物評論』1 (5) p.- (昭和9年11月) 〔彙報〕〔資料〕〔研究資料〕といった記事種別が、定例的な記事でないもの。

ダークアーカイブ(dark archive)なる概念があるとぞ。

書きつけを読んだら、ダーク・アーカイブなる概念が米国電子図書館界(?)にあるとか。 ダークアーカイブ(Dark Archive) 非常時の利用に限定し,通常はアクセスできない電子的アーカイブのこと。代表的な. Dark Archive サービスには,「Portico」や「CLO…