書物蔵

古本オモシロガリズムーー古本マニアの日々是趣味の人

世界の古物市場と珍商売をたづねた外山与治郎

かの古本乙女、カラサキ先生をもんもんとさせた本を書いた人のことは、八木福次郎さん同様、わちきも全然知らんかった(・o・;)
世界の古物市場と珍商売を尋ねて / 外山与治郎. 駸々堂書店、1932、458, 3p、20cm

そこで、外山与治郎について調べてみた
読みはトヤマ, ヨジロウでよいだろう。遡及データなのでただの常識読みだが。
https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00401256
ググると手がかりが得られる。
https://kbumpo-database.jimdofree.com/%E5%88%8A%E8%A1%8C%E4%B8%80%E8%A6%A7/57-%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E4%BA%8B%E5%85%B8-%E6%98%AD%E5%92%8C%E6%88%A6%E5%89%8D%E6%9C%9F/
そして手元にある『出版社調査事典』を見ると大阪で「外山書店」を経営していた人で昭和8年ごろ49歳だったと出る。
明治18(1885)年生まれらしい。
秘蔵の「全国古書籍商組合連合会組合員名簿昭和18年7月末日現在」を参照すると、南区日本橋三丁目三十五に「トヤマ書店 外山与治郎」とある。昭和45年の名簿にはないから、廃業したのかしら。

『昭和前期蒐書家リスト』は来年(2020年)1/14まで委託先HPへ注文してください(お知らせ)

好評の同人誌『昭和前期蒐書家リスト』の通信販売法について、若干修正のお知らせです。
f:id:shomotsubugyo:20191113080817j:plain:w360

トム・リバーフィールド編、書物蔵監修・解説
『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』
(トム・リバーフィールド、2019年11月)1,650円

これについて、委託先への先行予約に余部が生じた場合、

12月26日以降にサイト「日本の古本屋」に本書の販売データが委託先の出品として掲載

としておりましたが、日時を2020年1月15日へ繰り延べます。つまり、

2020年1月15日以降にサイト「日本の古本屋」に本書の販売データが委託先の出品として掲載

されます。
それまで(つまり1月14日までは)、現状と同様に次の委託先サイトから注文してください。
https://kanazawa-bumpo-kaku.jimdo.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E5%90%88%E3%81%9B-%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%83%AD%E3%82%B0%E8%AB%8B%E6%B1%82/
・送付希望先の、郵便番号・住所・氏名・電話番号、『昭和前期蒐書家リスト』購入希望部数、などを明示してください。
・1部1500+消費税円で、1,650円となります。【送料別】
・お一人さま3部以下まで受け付けます。

余録

土壇場で、元編集者だった某古書店主さまから部数についてアドバイスを受け、同人誌としては思い切った数を増刷いたしました。
おかげさまで、これも、予想より大幅に殺到しているという委託先への注文も、なんとか対応できそうです。

余談:本書は実は宝箱

わちきは本書で、どのように合理的に使用できそうか、という観点から解説したんぢゃが、出た後で謹呈先の人々からヒヤリングしてみると、むしろ、

ただ、オモシロい

というのがメインの面白さだったことがわかった(^-^;)

宝石がたくさん入ってる宝箱のような感じ

がするらしい(・o・;)
これは結局、わちきみたいな理屈派にはわからん価値だったのだねぇ(゜~゜ )

書物蔵謹白

本書はリバーフィールドさんの出す同人誌です。書物蔵は本書に関する経済的利害とは無関係で、皆さまとの連絡役をしている形になります。

待合読書の一種?ーラーメン屋読書

キングビスケット先生が、わちきがいつも疑問に思っていながら、手をだしかねている事柄について、問題提起をしておられた。

ラーメン屋における週刊誌・マンガ週刊誌の読書である。
ラーメン屋読書とでもいうのだろうか、当時の呼び名はなかった気がする。現象として広く日本人にあっても、現象名の同時代名称がないということも、ままあるうちの一つ。わちきは、床屋や銀行での読書を合わせて「待合読書」と呼びたいところだけれど、ラーメン読書はある種の「なになにしながら」の読書なので、「ながら読書」というべきか。
それはともかく、先生の問題提起に対して、1970年代にはすでにあったとする証言がちらほら。

文献では1960年代まで遡れそうである。

さすが先生はこれをうけ、日本に特有とされる(少なくとも欧米にはこれがないに近いらしい)ひとり飯の起源へつなげている。

king-biscuit
@kingbiscuitSIU
返信先:
@Yta8Ntion1FKvR0
さん
「一人で喰う」ことへの退屈なり淋しさなりは、おそらく食事には「給仕」がつくのがあたりまえだった習慣(酒席の「酌」なども)から何となく違和感があった段階を経て、という気がします。

もちろん答えは半分でていて、というか手かがりとして読む対象、つまり「週刊誌」の成立がある。現在の意味での「シューカンシ」は昭和20年代末、あとはマンガ週刊誌の成立が上限になるかしら。もちろん、ラーメン屋でのひとり飯、とのからみも。

子規全集: 小說・紀行 - 47 ページ
https://books.google.co.jp › books
正岡子規 - スニペット表示 - 他の版
... 西洋仕立の美本は玻壊の中へ這入つて金字がぴかくして光つて居る有様ですから肩書なしで一人りきんで見て慇始まらない謹だ面より肩書などを奪敬する菊は無い寧ろ軽菎したいと は思つて居るけれど書生が博士を軽. 7 4 2 堂世嬢鏡.

「ボール表紙本」という語の初出は?

「ボール表紙本」という語の初出は?
森さんに教えられた次を読むと。

  • 鈴木 徳三「明治期における「ボ-ル表紙本」の刊行」『大妻女子大学紀要 文系』(24), p1-4,図3p, 1992-03

ボール表紙本の呼称、並びに定義に関する記述は、筆者の管見する限り見当たらなかった。それと言うのも、これらの造本は、単に厚手の板紙を表紙に用いたに過ぎず、余りにも安易な洋装本の模倣であって格別の注釈や解説を必要とせず、

とある。
次の事例から、大正末に明治文学の回顧記事で説明的に、「ボール表紙」という言葉が使われ、それが古書店明治文化研究会などで「ボール表紙本」という複合語になったようである。
同時代にこの言葉はこの様式の図書に使われてはいないようである。
渡辺太郎は「ボール本」というさらなる縮約形で伝える。

事例:辞典項目

ボールぼん(ーー本) ボール表紙に石版画を貼つた明治新作物や翻訳小説。兎屋本もそれ。(コマ70)

書物語辞典 - 国立国会図書館デジタルコレクション

鈴木徳三も同じ取りこぼしをしているが、『書物語辞典』は近代書誌学の用語集として使える。

事例:記事論題レベル

記事レベルだとざっさくプラスで。

図版 出版ポスター(話の種、怖るべき子供たち)、国際問題を扱ったボール表紙本
無記名
昭和7年7月1日,書物展望,第2巻第7号

明治のボール表紙本時代
石井研堂
昭和16年8月1日,書物展望,第11巻第8号

国会図書館デジタルコレクション 煙皿 明治のボール表紙本時代
石井硏堂
1941,書物展望, 11(8)(122)

この次は鈴木(1992)になってしまう。

事例:本文レベル

最後に頼るグーグルブックスで、なるべく古くまでたどらんと「本」を外して「ボール表紙」で探すと、1927年の本が見つかる。
https://books.google.co.jp/books?id=USpHp3GKPVIC&pg=PP63&dq=%E2%80%9D%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E2%80%9D&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwj39dGyq5PmAhUryIsBHbD-A2c4RhDoAQhGMAU#v=onepage&q=%E2%80%9D%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E2%80%9D&f=false
明治小説の起源について、新聞の続きものがそうだとしつつ

此の体裁の小説本は四五年間は継続し之を明治式合巻と称へる人もあるやうだが、これが後には石版画ボール表紙の西洋綴りとなり、三変四変して博文館や春陽堂から出版する菊判やまと綴の小説本となつたのである。(p.41)

あと、荒木伊兵衛「日本英語学書志」創元社, 1931 が書誌記述に使っている。

検索結果1-3 / 10
392 ページ
英寧教授本(槍入)一冊岩井忠想編明治十九年( 1886 )東京盆楽堂務免紙・和装・木版
刷(縦一八・五輝横一二・五輝)十三葉。km英語通排一冊設楽勝美編明治十九年( 1ss )
東京井上勝五郎版洋紙・洋装・ボール表紙・銅版(縦一二・六輝横九輝)八十頁。英學早
...
394 ページ
洋紙 に作文、文法、譚文例、用字 394 洋紙・ボール表紙・活版刷(縦一五・三輝横九・八
編)八十八貢。 The Royal Readers No.1・Tokyo & Osaka・183 %ローャル第一譲本
km)一冊明治十九年( 1886 )東京六合館刊洋紙・ボール表紙・活版刷(縦一七・八輝横 ...
395 ページ
荒木伊兵衛 395 本書は明治三年版を合本して再版せしもの。洋紙・ボール表紙・木版
刷(縦一八・六極横一二・五編)百四十九葉。劉格賢勃斯英文典直譚(シ明治十九年(
1886 )東京欧文書館蔵版劉kmほトル園案内"一#明治十九年(。シ洋紙・ボール表紙・
活版 ...

https://books.google.co.jp/books?id=FP8DAQAAIAAJ&q=%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E6%9C%AC&dq=%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB%E8%A1%A8%E7%B4%99%E6%9C%AC&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjuueGUwJPmAhVvxosBHUPVB2s4bhDoAQhGMAU

12/3追記

古本蘊蓄 - 142 ページ
https://books.google.co.jp › books
八木福次郎 - 2007 - スニペット表示 - 他の版
古典社の『書物語辞典』(昭和十一年)には「ボール本」ー「ボール表紙に石版画を貼った明治新作物や翻訳小説。鬼屋本もそれ」とか、植村長三郎の『図書・図書館事典』(昭和二十六年)には「板紙表紙」ー「教科書の装釘又は法帖類の表紙等安価な図書の表紙に ...

掘り出し物は構築主義で

昨日、かような本を買った

のちに三一新書に入ったものらしいが、99名による読書遍歴からこの1冊を推薦する、というエッセー集。
ただ本を紹介するだけでなく、高校生向きに人生訓っぽく進める、という雑味があるせいで、本の説明に終わってないところがよい。
買った時の経緯や読んだ際の心情などが語られており、わちきの研究する読書史に益するのであった。