書物蔵

古本オモシロガリズム

2020-01-01から1年間の記事一覧

日記:内々の忘年会に

コロナ禍中なれど、うちうちでやるとのことなので、ホントに数ヶ月ぶりに帝都高速度交通にて神保町へ進出す。 会館で森さんに会い、遅れ気味にて会場へ移動したら、会長さんがすでにできあがってた(・o・;) MRくんを特別に呼んでいて、彼と森さんは初お目…

永井久一郎(荷風のパパ)の偉さ――近代図書館のホントウの始まり

明治5年に湯島聖堂に「書籍館」が出来て、日本ではじめての近代図書館になった話は誰でも知っている。 が。 それらをまねて各県でできた県書籍館たちは、みなみな明治10年代末には絶滅してしまったことは、いままで専門家しか知らんかった。通俗図書館史…

帝国図書館の新聞紙、合冊は明治31年、洋製本は明治41なの?

同館では明治三十一年四月から東京の思のある新聞のみならず地方の主なる新聞をも購入し保存することヽなり内務省の調査したものに依つて大阪毎日、大阪朝日、山陽新報、福岡日々、北海タイムス、芸備日々、新愛知、横浜貿易其他で都合二十首を購入すること…

城市郎

ネットにあったこんなん読んだ(´・ω・)ノ ゲストトーク 城市郎と『発禁本』 (「城市郎文庫展 出版検閲とその処分」記念講演会 城市郎文庫と出版検閲) / 湯原 公浩, 須川 善行. -- (図書の譜 : 明治大学図書館紀要 / 明治大学図書館紀要編集部会 編 (24):2020…

本のリスト(書誌)は星座にも似るというヽ('◡'◎)ノ

書評が出るような本の著者というものに『本のリストの本』でさせていただいた。幸いに好評で、編集者さんから小さい紹介記事にいたるまで、書評の類の記事が寄せられる。普段、書評を探すような仕事もしているので、これは実地に体験できてよかったことであ…

児童書研究と大人の本研究

子ども、というと、囲い込んで保護する、ということになる。その伝でか、研究も子供研究は、一般のディシプリンから切り離されて研究される傾向がある。大人の文学は文学一般で、大人の風俗は、民俗学や風俗史で、大人の心理学は心理学一般で。それに対して…

「田舎新聞小説製法」――大正年間の文芸専門通信社

公孫樹『新聞記者はこんなもの』八州閣出版部、大正10 50p 15cm この本に「田舎新聞小説製法」なる項があり、「小説の問屋」という言い方で、文芸記事専門通信社の活動が書かれている。ただし、いい加減なものとして、何年も前の流行おくれの小説を地方新聞…

『叢書全集価格総覧』の読み方――戦中期、古本屋さんは全員、これ見てた?

絶賛発売中の『本のリストの本』(創元社)がらみで、ツイッターにて岡島先生のご返信を得た。 岡島先生は、かの「積読」なる語が江戸期からあるのを突き止めた先生である。『叢書全集価格総覧』に「古書籍公定価格総覧【五十音順】」がついているなどとは、…

1901年7月18日、帝国図書館で美少年をチラ見するー明治半ばの珍なる日記

本好きのための「本の本」たる『本のリストの本』(σ ・∀・) 発売してまだ一週間たってないのに、なんと、東京堂ベストセラー4位に躍進していてびっくり(@_@;)今日、バイト帰りに東京堂へ寄ったら、なんと発売日から一週間たってないのに、ベストセラー4位…

『本のリストの本』が創元社から今月8/27発売

わちきもめづらしくペンネームで執筆させていただいた 『本のリストの本』が創元社から今月8/27発売だワァ(n'∀')η゚*。:*!本のリストの本作者:南陀楼 綾繁,書物蔵,鈴木 潤,林 哲夫,正木 香子発売日: 2020/08/27メディア: 単行本https://www.amazon.co.jp/%E6…

文献メモ

新聞雜誌發行手引 / 高橋文雄編纂、高橋成弘社、1932.1. 60p 19cm これ欲しいが明大にしかない。 ってか、最近、明治大学の蔵書データはCiniiに入ったんかぁ(・o・;) 以前はなかったよ(σ・∀・)

森洋介さんに褒められた話

2013年10月3日の昼、3F喫茶で三人で飯を食ってた時の話(´・ω・)ノ 優生学は統計学の応用で、全体の話と個人への対処を混同したら、悲劇になるようだね、という話をしていて。 統計学を図書館学に応用したのが、書物蔵のリスク管理論だなぁと森さん。さらに森…

警視庁統計

コロナ禍の宣言下、ざっさくプラスなど契約DBがネット民に公開されたことだったが、その中に、府県別統計書のDBもあった。大変ありがたく拝読したのだが、これを見て感じたのは、東京府だけ抽象度が高くて実態がよくわからんなぁということ。ちょっと考えて…

本をみんなで楽しんだ明治大正の魚山村:『「本読み」の民俗誌』

近視眼的に考えると、本は個人で自由に勝手に黙って読むもの!と言ってはばからないむきもある。しかし、歴史的にはどうだったか。ラジオやテレビから類推すれば、本でさえそうでなかったことが想定され、それを実証するのが本書、ということになる。 民俗学…

地域資料の復権

次のものを読了す。 『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)第31号 特集「図書館からLibraryへ」責任編集:福島幸宏 中小レポート(1963)以来、やっちゃダメ、と言われつづけていた地域資料論を、むしろこれからやるべき、という提唱。 LRG誌はこの号か…

日清戦争当時、絵草紙屋は「街頭テレビ」みたい

日清戦争当時、絵草紙屋は「街頭テレビ」みたいな機能をはたしていた。 山下重民「戰時東京市中の實况」『風俗画報』(85)p2~5(1895-02) 去年以来、何処の絵草紙店に至るも、其店前には観客常に市を成せり。店頭掲くる所を見れは、皆是れ征清の新版画な…

【電話帳 ハローページ廃止へ】

NTT西日本およびNTT東日本は、2021年10月以降に発行・配布する50音別電話帳(ハローページ)最終版をもって、終了することを発表。最終版発行後も番号案内(104番)で電話番号を調べることは可能。 電話帳は住宅地図と並んで、蓄積するとよいレファレンスツ…

初期の月報で好きだった連載「ラベルと請求記号」

初期の月報、好きだったなぁ 本や図書館のことがよくわかる 「ラベルと請求記号」という連載が一番好きかな この連載は歴史ある図書館だとジェネラルコレクションが資料群(NDLでは目録の「島」にあわせてシマと呼ばれたこともあった)からなることを教えて…

エアフィックス社のカタログにプラモ受容史の片鱗を見る

ブックカバーチャレンジ最終日 プラモメーカー、エアフィックス社のカタログ むか〜し実際に見ていたものは、これより少し前の版だけど、これらはしばらく前、高円寺の週末展で安く拾ったもの 刊行は1970年代の前半かなぁ… カタログ類は刊記がないのが困る …

罫下や前小口に押す印は、隠し印ではないような

>RT 「隠し印」「書籍の特定の場所や裁断面などに押すスタンプ」って、え?そうなの?小口印も隠し印なの?と思ってググったら、「隠し印(小口印):本の天や地、小口にどこの図書館の蔵書であるか一目でわかるように捺印します」と説明してるキハラさんの…

NDLサーチにインプロセス書誌が出る意義ないし意味はいかに?

神保町のオタ @jyunku 6月28日 国会図書館サーチで既にヒットするなあ。南陀楼綾繁・書物蔵・鈴木潤・林哲夫・正木香子『本のリストの本』(創元社)(・∀・) 南陀楼綾繁 @kawasusu 6月28日 出版情報登録センターからの情報みたいですね。まだ校正やってる段階…

洋ピン誌のうち、いちばん上品路線だったDICK

まだ日が高いのにすまんが ブックカバーチャレンジ6日目 1984.12創刊号 これは、インターネット普及前には3,4誌あった洋物ピンク雑誌、略して―洋ピン誌―のうち、いちばん上品路線だったもの(σ ・∀・) どんなジャンルであれ複数誌が成立していたとすれば、…

あるDBがいつまであったのか? これはとてもむずかしいお題

DB

蔵書印/出版広告 @NIJL_collectors 6月27日 折角なので、関連するDBの自分ツイートを、リツイートしておく。他の情報があれば、ご教示よろしくお願い致します。m(_ _)m 科研費が取れる程度に小さいDBを、省庁や位階別に切り割りして作るのは、いかがか、な…

データ自体が消滅しちゃうDBの媒体変換:紙カードからPCへ、メインフレームからクライアント・サーバへ

亀山インター @rei_akao 6月27日 各種学術データベース、勉強がてらPHP+MYSQLで作りましたーという所は無くなり、特異な担当者が作り上げた芸術品みたいな所は担当者の卒業・転職で無くなり、科研費もらって作った所は予算が切れたら無くなり。。。。結局、O…

「幽霊版」(版数とばし)は大正初めに始まった?

さても発行部数は出版屋の秘密にしテ。 かの電通も明治末年、その公表をあっさりやめてしまったとかや。 発行部数の代替機能を持ったものに版数がある。「忽ち○版!」「○版出来!」といった宣伝文に象徴されるアレのことだ。 戦後みたいにABC(部数認定機関…

大正時代は読書の転換期なのぢゃ

武藤直治「現代読書人気質」『新刊図書雑誌月報』13(5)p.1-3(1926.5)

図書館の閲覧統計(多読図書)とベストセラーは一致するか?

例の神戸高商由来の新聞DBにオモシロき記事(´・ω・)ノ 「座談会 三六年の出版界を語る」『報知新聞』1936.12.12-1936.12.19 (昭和11) 図書館と出版界 林 図書館の閲覧の方からいいましても矢張り文学物が何といっても王座を占めていますね。特に目立つことは…

レファレンスサービス : 文献レビュー

レファレンスサービス : 文献レビュー雑誌記事 田村 俊作 掲載誌 図書館界 = The library world 72(1)=412:2020.5 p.16-26からの一節 柳与志夫はレファレンスサービスについて、貸出しの次に来るサービスだと期待する声が図書館界にあるが、それは間違ってい…

本は千部刷らなければ算盤がとれぬ、といふのが常識

出版物の全国普及に関して、日配の配給課長だったとおぼしき中條一郎という人が、面白い、しかし的確な指摘をしている。友人が玩具を発明し売り出した。その友人が町中の玩具屋店頭を見たが、自分の発明品が店頭にみえなかったという。そして「新刊書にして…

明治の統計書はめんどくさいが上手く引き当てればオモシロΣ(゜∀゜;) 

いまコロナ禍在宅研究支援とて臨時公開されとる「都道府県統計書データベース」(J-DAC:ジャパンデジタルアーカイブズセンター)。 大変に重要かつ便利な当該DBなれど、『警視庁統計書』が引けないのであった(´・ω・`) 『(明治四十三年)警視廳統計書』を…