書物蔵

古本オモシロガリズム

発禁

明治初期における発禁本の差し押さえ実態について

が、山城屋稲田政吉は其の頃の商人としては四角な難かしい字も読み、後に府会議員となって府政に与かった程の口利きで、黙って泣寝入りする男では無かった。其の頃地獄の門を潜るより恐ろしがられた役所へ大胆に出頭して、お上の厳命となら禁止は拠ろないが…

エログロナンセンス、のエロは昭和7年まで?

図書課の月刊雑誌たる『出版警察報』にこんな巻頭言が。 最近風俗禁止が減少の傾向にあることは、主として新聞紙法に依る禁止の減少に基づくものであって、その理由としてはエロテシズムが最近中央のみならず地方に於いても漸くヂャーナリズムの対象から遠ざ…

安田, 新栄 || ヤスダ, シンエイ

納本現品 安田, 新栄 || ヤスダ, シンエイ ほか著は、国会本の正本(≒内務省納本の副本)を見ると、 函架番号「634-135」 見返しナンバリング「32」 奥付「昭和八年[二]月[一]日印刷/昭和八年[二]月[六]日発行」 ※[ ]は筆文字の訂正紙の貼付 受入登録印「内…

『図書月報』に「秘密に押収」が出ちゃってる(σ^〜^)σ

古本整理してたらこんなんが出た。 『図書月報』8(12)(明治43.9.23) じつはこの、(明治43.9)といふのが超重要で。それでわちきも拾ったんぢゃらう―ってか全然覚えてない(^-^;) ◎押収の困難 社会の公安を妨ぐる虞ありとて、同時に七十余種の既往図書に対…

嘉村礒多の雑誌発禁命令経験

グーグルで青空文庫にある、ある私小説の差押え現場の記述がでたのだが。 嘉村, 礒多, 1897-1933 || カムラ, イソタ 途上〔1932〕 嘉村は次のような雑誌に関係したそうだが、発禁号を調べたがでてこんかった。発禁をくらう場面は伝聞などにもとづいたも…

不良記事の明示は、1919年1月から

以前から、内務省図書課、あるいは警察がどうやって出版者に発禁命令を伝えてゐたのか疑問ぢゃった。 以前、大正10年に使われた新聞発禁の命令書と、大正の年号のはいった単行本発禁の命令書を紹介したことがあるが、これがいったいいつから、というのはわか…

ハツキン処分と削除処分を分けるポイントはナーニ?( ^ - ^ )

オタどんよりのご下問に奉答す jyunku 2016/06/07 21:22 削除処分も発禁のうちと思ってしまっていたが、発売頒布禁止と削除処分は別か。しかし、実際どう違うのかなあ。どちらも、問題の箇所を削れば、新たに発行できるのは同じような。 今回の事例であきら…

法文だけぢゃワカラナ〜イ(σ・∀・)σ:明治大正期の実務参考書がキモっ(o^ー')b

キョーカショに三類型 出版警察がらみの解説本には3系統あると書誌鳥に。 内務省のキャリアが書いたもの 内務省のノンキャリや警察署員が書いたもの 学者が書いたもの で、思想の自由のからみで、いままでさかんに1や3が復刻されてきたけれど、出版史研究と…

太田真舟=八木福次郎説について

一般の方々へ 発禁がらみのこのエントリの続きだす(´・ω・)ノ http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20150301 人魚の嘆き様へ お久しぶりです。返事が遅れすみません。 さて標記の件ですが、現在のところ福次郎説は取り下げようと思います。ただ福次郎さんが…

てっちゃんよりの来かん(2016.4.3追記)

太田某氏S50執筆「納本事務の件」とりあえず「不明」。当時法人でなくてたぶん〓見の文、八木さんのいう(当時知りたくない?とかいった「太田氏」だれなのか(通信常連のおも四郎氏は小生には師筋にありて、よい慶應出版社の太田臨一郎氏一〇二歳だがまだ生…

ハツキン本の回収どすぇ〜(^O^)/

オタどんならぬハツどんo(^o^o) オタどんがやってくれたっちヾ(*´∀`*)ノ゛キャッキャ 「本が発禁本に指定されると、たいていは東枝(書店)の外廻りの丁稚が廻ってきた。この丁稚は発禁本のことを「ハツキン本の回収どす」と、発禁をハツキンと言う。だから誠…

太田真舟は誰か、について

いやサ、次の文献がわちきの呼号せる近代書誌学のある場面で実はとっても重要なんだけど、実はどんな人が書いたのか、まったく不明だったのである。 太田真舟「戦前の納本・検閲:内務省の発禁本について」『日本古書通信』40(10) [1975.10] p.5-7 で、わち…

「〔事〕前の違法差押え」

ところが、ところがである。敵もさるもので、雑誌がまだ体をなさない前の製本屋さがしなどもやり出し、一度などはごっぞりトラックにつんだばかりの『戦旗』が大取次店にはこぶ途中、街上でごっそり差押えられたこともあった。検閲前の違法差押えである。 山…

フル本こそルフ本!`・ω・´)o:「納本刷」と流布本の関係

土曜深夜に読んだ古書通信、川島幸希論文のつづき。このまへの拙エントリでははしょっちゃった川島論文のすごいとこをズバリ古本ブロガーたる漁書日誌さんが指摘してゐる(σ・∀・)σ 川島幸希「『月に吠える』の論文」が出た http://d.hatena.ne.jp/taqueshix/…

発禁するのぢゃー

いま、「水沢不二夫のブログ 発見の手帳 PART Ⅲ」を見たらΣ(・ω・ノ)ノ! なんとΣ(゚◇゚;) ハッキンの示達書命令書ぢゃないすかっ!(*ω*;)´´ スゲーなぁ…ごがいなもんが、残ってゐたとはとは…(・o・;) 上記ブログによれば、「徳富蘇峰記念館」にあったのを数年ま…

金沢の古本屋「南陽堂書店」の初代は、実は文化人だったΣ(゚◇゚;)

あの南陽堂さんて、やっぱりスゴかったんだんだあΣ(゜∀゜;) こんな展覧会があるといふ。 「南陽堂書店」主人が愛した夢二 — 柳川昇爾コレクション新収蔵記念展 開催期間 2014年7月19日(土曜日)〜2014年9月28日(日曜日) 09時00分〜17時30分 入館は17時ま…

GHQの焚書 岩手の古本屋さんに

オモシロそうだが、ちとわちきにゃあ高い(゜〜゜ ) 連合軍総司令部司令による宣伝用刊行物没収リスト 岩手県古書籍商組合(仮題) / 岩手県古書籍商組合(盛岡市紺屋町12番地)、昭和22年(1947年)12月16日発令、1冊4頁+40丁(80頁)、B5判、表紙に毛筆…

「女給日記」で検索がきた(=゚ω゚=)

で、当該小説についてかきかけ部分を補足し、さらに書いてなかったことをメモ。 前のエントリ→ http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20121129/p1 そもそも、この小説、文学としては失敗しておるらしくて、次のサイトによれば、つまらないものらしい。 2008…

ある発禁事例 大正13年

「佐々木味津三氏著『二人の異端者』辛うじて発売禁止を免がる!(聚芳閣出版だより)」『文学界』1(2) p.〔67〕(1924.11) ○佐々木味津三氏著『二人の異端者』辛うじて発売禁止を免がる! 九月二十九日に突然内務省の出版課〔ママ〕から電話が「二人の異端…

日本における春画出版の解禁は1992年とか

「春画と日本美術」『読書人』(2985) 2013.4.12に面白い一節が。 春画の出版が事実上、解禁されたのが、「浮世絵秘蔵名品集」4v 1991/1992だという。 辻 編集委員一同捕まるんじゃないかと、私も心配したんです。だから危険手当ということで、原稿料も普通の…

女給・木谷絹子はやはり。。。

愛の空間 - 272 ページ 「ここで、木谷絹子の『女給日記』一九三〇年)という本を、紹介しておきたい。銀座のカフエ」→ほんとに例示のみ。調べはない。 木谷絹子 著. 女給日記. 発禁改訂版. 金星堂, 昭和5. 272p ;個人著者標目 木谷, 絹子 || キタニ, キヌコ …