書物蔵

古本オモシロガリズム

検閲

届出書省略の許可証を見る

池袋、神保町、高円寺と、実は大変忙しい。 本来の研究が進まぬ困った∩(・∀・)∩ それはそうとツイッターで重要な資料を見せてもらったのでここに引用する。内務省警保局図書課からの通知文書。出版法第10条による指定の出版物(この文書の場合は雑誌)が納本で…

エロ本はどこに入るのか

3日午前1時記載。 さっきツイートしたことは、実は金曜に兵務局さん相手に論文の材料とて語ったことがネタになっとんのぢゃ。 読書史を考える時、教育:教科書、副読本 学問:人文書、学術書 仕事:技術書、法令集、医書 生活:料理書、大工入門、家庭医学 …

昭和帝のあの写真がどったんばったんを?:納本はいつまで行われていたか

畏友オタどんが、また日記からオモシロな記述を報告してくれた(´・ω・)ノ jyunku.hatenablog.com 添田知道『空襲下日記』(刀水書房1984)から、昭和20年と21年に、内務省につとめる友人の吏員を訪ねた際の記述。 オタどんブログからちと転載(。・_・。)ノ …

林達夫の本名は

木本至「1937年の風景(古書)」」『出版ニュース』(2468)p13(2017.12下旬) 治安維持法での前科がある林房雄(本名:後藤寿夫)が日支事変で昭和12年上海に従軍記者として行った時の話を照会している。 林が現地の憲兵隊長(塚本誠大尉)に、最初の挨拶…

慶応が役人を出してゐた頃

宮地 正人「明治一桁代が面白い」『歴史書通信』No.230 p2-5(2017年 3) にこんな部分が(p.5)。 この従来になかった異様で開放的な雰囲気は74年2月、荘田平五郎宛書状において福沢諭吉をして 「学問のすすめは七編迄脱稿、此節は余程ボールドなることを云…

キミねぇ〜 かういった心づもりで雑誌を出すんだったら、

柴野先生の論文を読んでたら、オモシロな記述を見つけた。同志社で戦後、ドイツ流新聞学を展開した和田洋一の回想。 和田洋一「「世界文化」同人の体験--ねずまさしの回想にふれて」『思想』(633)p428〜437(1977年03月) 創刊号が刷りあがったあと、編集…

戦中期の地図につき統図番号あり

太平洋戦争前から、各業界では統制がハヤリとなって、1業種1団体の統制団体が成立する。 地図業界にもそれがあって。 昭和15年11月1日に日本統制地図株式会社(以下,日本統制地図)が成立。民間の統制会社だが検閲事務取次ぎとして、「統図登録番号」はを…

おっちょこちょいな大阪府警(σ^〜^)と内務省の構内電話o(^o^o)

おっちょこちょいな大阪府警(σ^〜^) 拙ブログの読者ならバ、ちょっとまへ「おそらく現存最古の発禁処分の命令書。1921(T10)年6月16日『国民新聞』」といふものが話題を呼んだのを憶えてをらう(σ・∀・)σ 発禁するのぢゃー http://d.hatena.ne.jp/shomotsubu…

「〔事〕前の違法差押え」

ところが、ところがである。敵もさるもので、雑誌がまだ体をなさない前の製本屋さがしなどもやり出し、一度などはごっぞりトラックにつんだばかりの『戦旗』が大取次店にはこぶ途中、街上でごっそり差押えられたこともあった。検閲前の違法差押えである。 山…

『伏字の文化史』は先週の半ば、やうやっと読了した(。・_・。)ノ

『伏字の文化史』は先週の半ば、やうやっと読了した(。・_・。)ノ伏字の文化史―検閲・文学・出版作者: 牧義之出版社/メーカー: 森話社発売日: 2014/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見るワンサと書込みしつつ読んだので、時間が大分かかって…

アナ作家・望月百合子が語る納本異聞 かきかけ

さういへばこの雑誌はヌ氏に譲ってもらったんぢゃったっけ。 『痴遊雑誌』昭和十一年三月号 これに戦前納本史上、むちゃくちゃオモシロい記事が載ってをる(´・ω・)ノ 望月百合子「納本異聞」『痴遊雑誌』 昭和十一年三月号) 望月, 百合子, 1900-2001 || モ…

京橋図書館「戦中日誌」といふのがあるらし

これを読むも、うーむ(゜〜゜ ) 鈴木理生「京橋図書館「戦中日誌」」『郷土室だより』(142)pp.1-4(2012.3) 中身は標記翻刻(昭和8-昭和20)の紹介なんだけど、内務省寄託本の受領が1942年6月1日を最後に終わっていることから検閲作業が中止されたのでは、と…

ほんと、みんなよー見つけよーつけるよ(・∀・`;) 饅頭本(*´д`)ノ

出版史の周辺にいる友人らがかやうな本につきわいわいと(^-^*) 廣瀬徳二の思い出 廣瀬芳子、 1979 初函314頁、小学館時代他 本郷保雄/横山光輝/赤塚不二夫/藤子不二雄、金沢文圃閣 6,680円 本郷保雄は『主婦の友』全盛期を作った編集者。 ほんと、みんな…

鳥谷部陽太郎[][秘密文献]なーんだやっぱり(σ^〜^)σ アラ、見てたのね〜、って古い?:戦前の秘密資料の公知度は

古書販売目録といはんか、古書目録(最近ハ古書目とも略すらし)の、さらに古本としての価値なんどといふものハありやなしや、といふ声があらうかと思ふ。 ん?(・ω・。) にゃに言ってんだかわからんってか(^-^;) いやサ、たとへば世にも珍奇なる古書目録の…

出版行政史「として」読める文学研究

まだない学問ジャンルたる日本近代書誌学において、出版史やそのサブ領域たる出版行政史はきはめて重要とは、これは言わんでもわかるわな(゜〜゜ ) 1990年代にあった日本近代書誌学協会の会報を大変な苦労をして(笑)極秘裏に入手して読むと(国会図書館…

みんなニコニコ検閲し( ^ - ^ )

検閲って知っとる?(σ・∀・)σ こんなチラシをもらった。 用語「検閲」 もともと検閲ってーのは、「しらべあらためること」という意味で前近代から使われてたらしーんだけど(日国)、近代になって特定の場面でのみ使われるようになり、はじめ陸海軍の閲兵の…

『出版警察報』の総目次がネットに!!!

日本文学研究者の「水沢不二夫のブログ」にびっくりの記事があげられていた。 http://blogs.yahoo.co.jp/kafuka1964/20923023.html 内務省警保局図書課『出版警察報』目次総覧 公開開始 2011/8/25(木) 午前 8:44 内務省警保局図書課『出版警察報』の目次総覧…

出版警察研究biblio(戦前分)

若林晨兒「引札の拵方と撤方」『實業界』32(6) p.? (昭和1年) 頓亭「発禁一万五千部押収―中央公論社の大痛事」『文藝時報』(134) p.? (昭和5年5月) 野々村治作「國防思想の普及手段と出版警察上の注意」『軍事警察雑誌』() p.? (昭和6年10月) 工藤折平…

検閲納本制度の実態説明がないのです。

日本古書通信(2009.1)をめくってをったら、アンケート/昨年の収穫と今後の研究テーマというページがあった。 (1) 浅岡邦雄・中京大学教員 (2) 「大正九年新聞紙出版物差押題号簿」 「昭和十三年出版物行政処分名簿」 「昭和十五年九月十日現在 左翼出版物治…

紙芝居の検閲

「紙芝居業者取締ニ関スル件」1938.3.1より警視庁 台本、正副2部を警視庁に 根拠法 治安警察法16 交通取締規則33 飲食物営業取締規則2、3 警察犯処罰令2-12(「紙芝居検閲制度の実施」『紙芝居文化史』石山幸弘 萌文書林 2008 p.75) 「GHQはPPB(プレス・映…

正本の末路

列挙書誌学に染め上げられちまった図書館情報学系の連中には、「正本も複本もない」とか「複本記号なんてなくていい」とか、まるで本屋さんみたいなアタマになっちまってる奴もおるけれど、分析書誌学的には、受入印とか登録印とか、日付印やら奥付やら書き…

奥付研究、というか検閲研究か?

こんな文献を読んだ。 ・太田真舟「戦前の納本・検閲:内務省の発禁本について」『日本古書通信』40(10) [1975.10] p.5-7 この昭和50年頃、ちょうどLCから内務省発禁本コレクションが国会に返還されたので、それにあわせて書かれた記事だとある。 中身は内務…

発禁に遭っていた島影さん

NDL-OPACから島影さんの著書一覧(って、そのほとんどが人生論だからどーにも)をつくってみたんだけど、なかにひとつオモシロそーなものが。 戦争と貞操 / 島影盟. -- 大東京出版社, 昭和12.11 タイトルがオモシロ、と思ってたら、call no.が、「特501-322…

イルムス館で禁書目録を

開場に遅刻するかとあせってしまった(^-^;) 正面にならび,脇の通用口?から古書マニヤたちと入り込む… ならんでた人がこのまえ森銑三を買った古本屋さんでどぎまぎしたよ… やっぱ古本屋さんも買いにくるのね(^-^*) そして開場となり… うーむ,今日はあ…

戦時図書館本はオモシロし

『起原』もそうだけど,大東亜戦争中にも書物趣味をくすぐるいい本がかなりでてる。本の本なんか特にそう。小野則秋とか。いま注目してるのは 本の話 / 鳥生芳夫. -- 健文社, 1944.11 これ,ある古本屋にあったんで立ち読みしたけど…。おもしろい。というか…