書物蔵

古本オモシロガリズム

2019-01-01から1年間の記事一覧

雑誌研究のキモは編集後記にあり

編集後記の効用 ここ20年ばかり流行りの雑誌研究。理由は紙メディア広告費が終焉して商業雑誌が成り立たなくなり、雑誌自体が終焉を迎えつつあるからであるが、それはともかく。 雑誌研究をするさいよく使われるのは創刊号の巻頭言、創刊の辞というやつ。そ…

『在野研究ビギナーズ』という本

ここ数日『在野研究ビギナーズ』という本をめぐる議論をタイムラインで見ている。在野研究ビギナーズ――勝手にはじめる研究生活作者: 荒木優太出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2019/09/06メディア: 単行本この商品を含むブログを見るさっと読めるしお手頃価…

ジョナサンで読書論

森さんを呼び出してジョナサンでお茶。 読書研究、つまり行いに焦点を当てる研究と、読者研究、行為者に焦点を当てる研究を分けて考えたほうがいい、という話になる。読者研究は結局、読者の類型化の際に性別や財産など社会階層に還元してしまうし、それでも…

天下の書府にて

天下の書府にて某会へ。 駅にはお迎えありて、ありがたい。地方都市はなんでも筋斗雲だからねぇ。わちきみたいに東京で筋斗雲を乗り回すのは、伊達や酔狂でないとできないが。 会場入りする前にステーキ丼を食す。おいしい。さすがジモティー推薦の店は違う…

「今日のようにコピーできず、雑誌の本文を筆写するしかない」

昨日は岩波新書青版を求めて所沢まで筋斗雲にて進出したが、結局、お目当てのものはなく(あきらめてネットで買うつもり)、かわりに次の本を得た。 昭和文学への証言 : 私の敗戦後文壇史 / 大久保典夫 著. 論創社, 2012.11 これに複写サービス史の片鱗が書…

「人人本」

編集フレンズに誘われて、急遽「ひとひとほん」のイベントに参加してきた(´・ω・)ノ 南陀楼綾繁×金井真紀 連続トークイベント「人、この深き世界」 www.libro-koseisha.co.jp 会場は神保町すずらん通り喫茶店Folioがあるビルの6F(σ・∀・) このビルに入るのは…

【版数とばし】には業界語があった:昭和7年前から【幽霊版】なることば

実はまだ建設途上の近代日本書誌学ないし近代日本出版史。 いろんな主題が放置状態であるなかで、奥付の記述要素がある。 ん?(・ω・。) あんなもの研究して何になるのかってか。いやサ、コンテンツがどのように受け取られる想定だったのかが分かるんよ。てt…

「在野研究ビギナーズ」は15人の実践録 それにつけても図書館の重要さよ

縁あって荒木優太さんの編著「在野研究ビギナーズ」(明石書店、2019.9)を入手。昨日、暁ふ頭公園で一気読み。本日スタバにて読了したので、ここに感想をば(´・ω・)ノ 大学に所属していないけれど学術論文を書く15名の方々による実践記録集。俸給生活者で…

文献メモ:ある市井の徒

もうかなり前にキングビスケット先生に教わったこの本。 ある市井の徒・新コ半代記 (旺文社文庫) / 長谷川伸 著. 旺文社, 1978.11 面白いだけでなく、無学な人がどのように本を読めるようになっていくか、といった史料になっている部分がある。 新コはそのこ…

下鴨で柿沼かたしに

8月18日(日)記す。 友人らは行かなくなっちゃったので単独で下鴨の古本市へ行く。 オタどんがいうには、古本者も上級者になればいつしか古本仙人となって、古本などろくに買わず、仲間や古本屋さんと駄弁って帰る、というパターンになるらしいが。 そのオ…

下鴨で柿沼かたしに

8月18日(日)記す。もう一週間近く前になるけれど。 友人らは行かなくなっちゃったので単独で下鴨の古本市へ行く。 オタどんがいうには、古本者も上級者になればいつしか古本仙人となって、古本などろくに買わず、仲間や古本屋さんと駄弁って帰る、というパ…

コミケット96の三日目へ

友人らは行かなくなっちゃったので、ひとりで行く。 今回、オリンピックの影響とかでいつも三日間のところ四日間で開催。いつもどおりお昼過ぎに行ったが、あとでネットで知ったところ、午前中の入場の際、めずらしく混乱が生じ、熱中症が何人も出たとか。来…

明治10年代から30年代の新聞挿絵は使える!

文明開化がやって来た : チョビ助とめぐる明治新聞挿絵 / 林丈二 著. 柏書房, 2016.10 これを読了。 いや、大変に勉強になった。資料性が高く、かつ楽しい本なのは著者が路上観察学(昭和末期考現学)の創始者だからだろうな(^-^) ってかわちきも絵葉書…

貸本屋が出てくる川柳

沓掛「貸本屋考」から 貸本屋無筆に貸すも持つてゐる(明和) 貸本屋名を見せたか胴突かれ(〃) 筆者註(多分ワイ本ならん) 貸本屋おとし咄をして戻り(〃) はなしやれと四五冊匿す貸本屋(〃) (禁止本か) この本は屋敷おもだと貸本屋(〃) 好きな乳…

東京府布達全書. 明治9年

拾い物。 ○第二号 〔明治九年〕一月廿九日 市在各区 区戸長 図書刻成納本之儀、昨八年十一月内務省甲二十三号布達之趣モ有之ニ付、自今、本庁ヘ差出ニ不及。同省ヘ直チニ可致納本、此旨可及告示者也。 (東京府布達全書. 明治9年 p.1裏) ほかにも出版がらみ…

公文(布達)の印刷が明治初期出版社を育成した?

この前、某先生と飲んでいたら、明治初期の出版社発展には、教科書だけでなく、布達の印刷が重要だったのでは、という話になった。 それって誰か研究してますかね? いや、知らんなぁ。けど、佐賀県の例では700部刷ったという史料を見たよ。明治初期の官令は…

同人誌のスキャンレーション・サイトの閉鎖から同人誌アーカイブを考えるーー著作権厨でない観点から

今までネット情報源のマンガ関係を紹介する時に、 The Doujinshi & Manga Lexicon がなぜ良いのか説明するのに「スキャンレーション・サイトでない、純粋な書誌データベースだから」と言ってきた。 スキャンレーションは海外マンガファンのサイト スキャンレ…

資料メモ

リバーフィールドさんに教えられ(^-^) 1932/7/15日本雑誌協会の特別委員会,店頭における立読み・販売業者による不正返品防止策として雑誌をアンカットにする案をとりあげて協議.これが業界に波紋を生じ,主婦之友社は反対意見を文書で具陳し,販売業者…

趣味展

詩壇人国記 / 渋谷栄一 著. 交蘭社, 昭和8

雑誌の巻号やら法定文字について

月曜夕方、アットワンダー2Fでの座談会「巻号ナイト2巻1号通巻2号」を見聞してきた(´・ω・)ノ 前半は雑誌歴50年になんなんとする成人漫画雑誌ボンの、コンテンツ変遷と、巻号表示についての話。後半は池川佳宏さんの巻号論。次のコピーも配布された。 …

小新聞には1社に1、2人「必ず」いた「悪徳記者」

日本新聞学の開祖、小野秀雄。その代表作「日本新聞発達史」はいまだ、日本新聞史の定説として扱われているのではないか、という話をMさんに聞いて、それは拾わねばと思っていたので、数年前拾ったら、無くしてしまった。この前高円寺で安値(アカシヤさんで…

文献メモ

編集・広告プロダクション情報. 白馬出版, 1987.11. 293p ; 19cm. 出版社、広告会社の企画・制作離れと共に、その外注・分業化が進む今日、プロダクションを抜きにしてはマスコミ産業は語れない、というところまでになってきています。そこで、より細分化さ…

記事をネタにした恐喝は明治初めから

組織内不祥事や不品行を訴え出る場がないなぁと、思ったのは15年ほど前のこと。ちゃうど書物蔵が始まったのもその頃(*゜-゜) どんな組織だって人間が構成しているんだから、いい人もいれば悪い人もいる。それはどうやって記述されるのか(´・ω・)ノ そん…

本の整理

新書版の整理をした

フーコーの、交差配列(キアスム)

地下書庫にてこれを読む(σ・∀・) ロジェ・シャルチエ「フーコーのキアスム――科学と文学のあいだの作者性,18世紀~14世紀」宮下志朗・丹治愛編『書物の言語態』東京大学出版会,2001.5 なーるほど ってか、ちゃんと学科の蔵書にあって他専攻にないのは意外であ…

書評を読む

ふと思い出してこれを読む。 菊地 暁 , 書評 福間良明著 『辺境に映る日本--ナショナリティの融解と再構築』 ソシオロジ 49(1), 175-183, 2004 https://www.jstage.jst.go.jp/article/soshioroji/49/1/49_175/_article/-char/ja/ いやすごかった。 これが…

神戸市立図書館でレファレンスが戦後、復活したことをどう捉えるか

大東亜省の有能な通訳だった志智嘉九郎。 彼が1950年代の第一次レファレンス・ブームを主導したことは拙ブログにてルル述べてきたところ(´・ω・)ノ ところでその志智は、ブームを始めたころ、自館の書庫に潜り込んで、実は自館の神戸市立が戦前にも同じサ…

和洋会

フランスで書物の社会史がはやったはじめ、いったい一般読書人はどんな本を読んでいたんだろう、とて、そんなリストないかないかっ?って探したら、遺産目録に本が出てきてこれが使えそう、とて使われた、なんてことがあったようである(´・ω・)ノ あゝ、シ…

来た本

書名:興信所の内幕 是れでも取引上の保証機関といふ乎 価格:¥2,160 書籍情報:竜池滴露,興信機関廓清会,1923,1冊 解説:裸本 ヤケ 背傷み 角スレ 167頁 p.35-p,36に小さな穴 四六判 ソフトカバー 大正12年刊

品切れとか(´・ω・`)

書名:東京剪断通信社規則 価格:¥5,000 書籍情報:明治24 解説:P77