書物蔵

古本オモシロガリズム

貸本屋が出てくる川柳

沓掛「貸本屋考」から

貸本屋無筆に貸すも持つてゐる(明和)
貸本屋名を見せたか胴突かれ(〃)
 筆者註(多分ワイ本ならん)
貸本屋おとし咄をして戻り(〃)
はなしやれと四五冊匿す貸本屋(〃)
 (禁止本か)
この本は屋敷おもだと貸本屋(〃)
好きな乳母本屋を叱り叱り見る(安永)
貸本屋げだいばかりの学者なり(〃)
貸本屋密書三冊持つて来る(天明
筆豆な得意に困る貸本屋天明
 (筆豆な客は落書する)
貸本屋しよはずに廻る二十日過ぎ(〃)
 (掛取り)
貸本屋唐と日本をしよつて来る(文化)
清少納言おん筆と貸本屋(〃)
 (枕草子)にもいろいろある)
オヤ馬鹿らしいと本屋へぶつつける(〃)
 (娘にワイ本でも見せたか)
今日は又夢をしよひ出す貸本屋(文政)
騒動を背負つて廻る貸本屋天保
 (加賀騒動伊達騒動など稗史類)
うかり来て本屋敷居にけつまづき(〃)
貸本屋これはおよしと下へ入れ(不詳)
貸本屋くりびきにする三国史(〃)
 (くりびきとは陣法の術語で軍勢をつぎつぎに引き揚げること。貸本屋が多篇の本を一篇と二篇、三篇と四篇と順次旧いものを新しいものに取換えて行く様を陣法の「くりびき」になぞらえた。
貸本屋見せない本を持つて帰り(〃)
二三冊先ず取り除けて貸本屋(〃)
貸本屋人のひまをば付ねらひ(明治)
貸本屋小説鉛筆で批評する(〃)