書物蔵

古本オモシロガリズム

少雨荘、蔵書票につきて金森徳次郎に建策す

日本で最大級に立派だった書物趣味雑誌『書物展望』のことは、古本ずきなら知ってをらう。取次を通じた納本制度がでけるまへ、その雑誌が出るたんび、拾数冊ばかり赤坂離宮へ運ぶ青年がをったのぢゃ。その青年、本好きが嵩じて、学生時代から書物展望社に出入りし、なんと展望社のある新橋駅にたちよるために定期までこしらえたといふ。
まあそれはともかく、「展望」を収集へ持っていったら、それを受取った山下信庸がかういふのださうな。「今度、図書館で蔵書票を作ることになったから、斎藤昌三さんに意見を聞かせてほしい」。
明治の初め、欧化主義まっただなか、永井久一郎(永井荷風のオトーサン)が、書籍館に「蔵書票(ex-libris)」を作り、実際に運用した話は趣味界ぢゃあ有名ぢゃが、その後は廃れ、昭和初めあたりに斎藤昌三あたりが書物趣味の一環として蔵書票趣味を鼓吹したことは、これもまた有名な話。
とゆーことで、金森トクジローなんかが、
(かきかけ