書物蔵

古本オモシロガリズム

画期的奥付研究かも

デイリースムースさんところで言及されてた記事を遅ればせながら見てみる。
高梨章「戦時の本の奥付を見る」『日本古書通信』(933)(2007.4)p.24-26
著者はつぎの4つに就いて論じている。

  1. 定価表示の上にある○に停の記号「マルテイ」
  2. 「発行承認番号」
  3. 定価表示の上にある○に許の記号「まるきょ?」
  4. 「まるきょ?」にともなう「査定番号」

使った史料は『出版文化』(昭16.8〜日本出版文化協会) (復刻:金沢文圃閣
んで、それぞれ考察の結果は。

  1. 「九・一八停止価格」だそうな(昭和14年の価格統制令が出版物にも及んだ)史料 「○停の奥付印刷に就いて」『出版文化』(28)(昭和17.8.11)
  2. 番号振り分けのロジックについて、いろいろ考察してやっぱわからんかったみたい 史料 みあたらず
  3. 「書籍等例外許可価格申請」による許可の印 (昭和19.1.1以降発行承認の書籍のうち、申請して査定を通れば価格を上げられるというもの)史料 「書籍等価格査定規則」『?』
  4. 委員会の部会番号+査定順?+級別(礼・信・智など)史料 同上

で、オモシロいのは最後の「査定番号」
これ、期せずしていまのISBNのおまけでついてるPコード(だったかな?)になってるのだ。
つまり、内容の分類と読者対象ね。
委員会が主題別に構成されていて、十いくつかのジャンルわけに(結果として)なっているし、「級別」のヘンテコな漢字が読者対象をあらわすという