書物蔵

古本オモシロガリズム

戦時中の国内洋書海賊版を見つけるには

他の件で見ていた『出版文化』―文協による戦時中の業者向け広報誌―にこんな記事が出ていて、そうか、これをテコに戦時中の北明の活動がわかるとひらめいたことじゃった。

リプリントの定価について 事業統制課
 洋書翻刻図書は、概して出版企画が簡単であり従って原価の採算も容易であるから、本来ならば適正な定価を決めて書籍の企画届に申請すべき筈であるが、実際に於ては往々逆に法外に高価であるため大部分は情報局リプリント会議や査定会議で定価引下げをさせられてゐる状態である。
 その極端なものを例示すると、【略】この際リプリント関係の会員諸君は、これを他山の石とせられ、リプリント物の定価決定は飽迄良心的にやって貰ひたい。
『出版文化』44号(昭和18.1.1)p3-4

戦時中、海賊版として国内で印刷された洋書にも、奥付があるのではないか。
奥付には定価など日本出版物の要件が刷り込まれているのではないか。そしてそれは海賊版と元版を区別する指標になるのではないか。