書物蔵

古本オモシロガリズム

DDC略史上けっこう重要な「言葉の引力」現象(σ^〜^)σ

なんで一介の古本者が、ほんたうなら2、30年まへにJLAの分類委員会やらNDLの分類課やらが紹介ないし解決しとかねばならん問題を、平成の御代も末年になってやらねばならんのか(-∀-;)
日本図書館情報学界の退廃ぢゃ!(*'へ'*)
と、ぐちをつぶやきつつ、アトラクションによる分類づけについてググったら、DDC21版(1998)の、つぎの解説本の序文に出てきたよ。

  • Dewey decimal classification, 21st edition : a study manual and number building guide / Mona L. Scott. Libraries Unlimited, 1998. ix, 198 p. ; 25 cm.

全文がネットで読めるので、当該の箇所だけの和解(わげ)をつくってみた。

DDCの現代史
1931年のメルビルデューイ死後四半世紀は "変更と手探り"(Comaromi1976、339)の時代だった。ほとんど60年にわたりデューイと個人的関係にあった忠実なる編集チームは、DDC13版(1932)の刊行とほぼ同時に解散した。このエディションでも既存項目へざまざまに標数を付加するという傾向は続いたままだった。それまでの版より1/3も厚くなって、膨大すぎると文句をいわれており、多くのユーザが望んでいた全分野で均等な項目の増加が欠けていた。
誰が管理するかかなりごたごたした後、新しい編者が中途半端なDDC14版(1942年)に向けた準備を担当したが、それも公刊された時までのことだった。著作権、項目の綴り〔デューイは改良つづりを用いていたので〕、補助表の増殖、および国際的書誌機関との連携のといった難問は、DDCの維持に影をおとしていた。早急に達成すべき目標は、まだ拡張されていない部分も含めて全分野の項目を展開していくことだった。20万冊を出ない規模の、平均的な図書館にきちんと役立つ"標準"版がほしいといった声は日に日に増大しつづけた。標準版ができれば、大図書館や索引用途のための複雑かつ詳細な書誌分類版と、学校や小さな公共図書館のための要約版との間のギャップを埋めることにもなる。DDC14版には、来るべき標準版で搭載されることになる項目制御のための包括的な説明書が記載されるようにされていた。包括的な説明書は1年も締切をすぎてしまい、完全で統一的な項目拡張を用意できなかったが、それにもかかわらず、意外に長く愛用され、人気があったのが14版であった。
しかし、DDC17版が"slot-ification"あるいは"誘引による分類"と呼んだ現象が、DDC14版の列挙項目において絶頂に達してしまった(Butcher 1979、8)。その後の版では、補助表や優先順位表といった記号合成用の道具を増加させることになった。これは部分的には事実に基づいた知識が膨大に成長したからでもある。(以下略)
(書物蔵訳)

ははぁ、なるほどである。
いやさ、これで「誘引による分類」の参考文献への糸口がやうやくたどれたということもあるが、それよりも、論理の問題として、この誘引分類を回避するには、個々のディシプリンに項目をつくっちゃえばいいわけで、おそらくDDC17でそれが試みられたというわけですな(σ^〜^)σ
なーるへそである。DDCはきちんと管理され(るようになっ)ていたっちゅーわけですなぁ(*゜-゜)
それも、上記の解説本で、短いDDC略史の1パラグラフを用いるぐらい、重要なことだったというわけですなぁ(゚∀゚ )
もちろん、この誘引分類は本質的に避けようがないから、どうしてもやらざるべからざるところがあって、だから、現状のDDCでもグロッサリーに言葉が残ってをるちゅーわけですなぁ(・∀・)

同義語:「分類項目名への当て嵌め」

へぇ、誘引による分類に同義語があったなんて、しらんかった(σ^〜^) "slot-ification"は辞書にないことばだから、造語のようだ。slotが、細長い穴にはめ込む、という意味だから、分類項目の名辞(term)にその本の主題語を嵌め込む、というニュアンスなのだろう。なかなかにオモシロい。
さういへば、"attraction by terms"てふ同義語もあったなぁ。図書館情報学の術語とやらに敬意を表して「名辞による誘引」ぐらいに訳しておきますか(*´д`)ノ
もちろん、「名辞」とは、分類項目のことばの部分にならんどることばのこと。「分類項目名」とでも呼んだほうが一般人にもわかろうけれど。
ほんたうはこんな(実務には)重要な現象、きちんとした日本語訳があるべきなんだよなぁ。。。
「誘引による分類」としてをるのは、末尾参考文献の国会の連中が1980年ごろにつくった言葉を踏襲してはおるし、これは原語があるわけだが、いまいちな言葉だなぁ。
「項目名への当て嵌め」でどうか(゚∀゚ )アヒャ 「ゆーいんぶんるい」ではわけわからん。
「言葉の引力」現象とでも云ふか(σ^〜^)σ

参考文献 英語

んで、上記のブッチャー著1979というのは、つぎの文献だと同じ本にある。

Butcher, Peter. 1979. Dewey? We sure do! Catalogue & Index 55: 8.

いま、ググるとつぎの書誌のよれば、
http://www.glib.hcmuns.edu.vn/elib/ddc/onlineddc/biblio05.htm
DDC19版のレビューだそうだ。

421 Butcher, Peter
Dewey? We sure do: a review of DDC 19. Catalog and Index. 55. Win 1979. 1, 7-8. Edition 19 - Review

参考文献 日語

DDC略史でけっこう重要な変更点としてでてくる話題だったとはつゆ知らず(´ヘ`;)とほほ
てか、だから、1970年代のNDL「整理屋」さんたちが気づいたというわけかぁ(*´∀`*)

図書分類の記号変換―DDC,LCC,NDC

図書分類の記号変換―DDC,LCC,NDC

しかしこの本、いま日本の古本屋みると、にゃんと早川図書で8,400円ででとるΣ(・ω・ノ)ノ!
見識ではあるけれど、ちとお高いのー(#+_+)
わちきはどっかで500円ぐらいで拾ったような気が。。。(゜〜゜) それに均一とかでどんどん潰されてしまったような気もするが、こんど見たら拾ってをかう。いま、どっかいっちゃってでてこんし(´ヘ`;)
題名は酷いね。ってか、いろんな種類の分類の、分類項目を自動で他の分類に翻訳するため、各種の分類表の構造や記号原理をさらってみませう、といった本であって、自動翻訳はほとんどできとらんのだから、「比較図書分類概説」とでもつけるべき本で。
この本、じつは英米と日本における代表的図書分類表の概説本であって、これを超えるような概説本が、いまだに日本でないことが問題なんだよなぁ。。。しかし早川さんの見識のおかげでか、こっちでもよみたやさんが6000円ちょっとをつけとりますなぁ。
で、このまっかっかな本、なかの執筆担当者たちをみると、おほむね国会でも学術っぽいことをやっていった連中であることがわかる(σ^〜^)
さういふ意味では、米人の議論をきちんと紹介してくれてたのはアリガタイけど、それと、分類付与実務を照合させるといふやうなことはしなかったし、できなかったのではあるまいか(゜〜゜)
ん?(・ω・。)
いっとう最初のボヤキの答へが出たね(σ^〜^)σ
ただ、編者になっとるお二人さんは実は日本図書館学史上、かなり重要な人物で。戦後日本の国会さんにおける図書館学の流派の異なる代表としてこの本の書誌にて2人セットででてくるのは象徴的ですのー(´∀` )

丸山, 昭二郎, 1927- || マルヤマ, ショウジロウ
丸山, 泰通, 1934- || マルヤマ, ヤスミチ

まあこれは図書館史トリビアだけどね。