書物蔵

古本オモシロガリズム

雑誌の通史 附・商報について

よく考えたら「商報」は通信、内報の下位でない

きのふの陸軍パンフのエントリ書きながら、間宮商店の商報があれば業界誌になったかも、などと思ったが、ん?(・ω・。) 商報ってば、内報にも通信にも入らん概念のような気がしてきた。
よく考えたら、無意識にこのまへ読んだ資料分類をきちんと論理的にあてはめれば、納本対象でないその他出版物になるなぁと。
さすれば、業界誌の先祖には、機関誌、通信、内報商報があると併記すべき関係になるなぁと。

雑誌の日本史

このまへトラバを見たら日本の雑誌史について文献調査をしている人があって、奇特な人やなぁとて何気に森さんと「日本の雑誌史」の通史的な本って、どんなのがありますかねぇと話したら、永島寛一の『雑誌論入門』があるでしょ、といはれ、あゝさうだったさうだった、しばらくまへ古書展で拾っっておいたのであったとて、ひっぱりだしてみたら、やっぱり装丁はごくごく地味っちゅーか貧弱ながら、実ハびっくり、これがイチバンよさげ(o^∇^o)ノ

  • 雑誌論入門 / 永島𥶡一. -- 吾妻書房, 1967

いま日本の古本屋で見たら金沢文圃閣が2000円弱で出してるね…。さすが。
これは概論風のタイトルでいながら、むしろ日本の事情および歴史をまとめたもの。森サンも言ってたけど、昭和26年に同様の文献調査をしたレポートを縮約・一般化したもの。さういへば26年版をたちよみした憶えが( ^ - ^ ; )
これによれば日本における専門誌の成立は明治10年代ということになろうが、基本的に直売誌ないし非売誌である通信や商報の話はトーゼンでてこない。まぁあたりまえなのだけれど、しかし、昭和25年のものを基にした昭和42年のものがいまだに使へるっちゅーのは何を意味するか。
一般に図書館分類において、総記には、

  • 全体について論じたもの、
  • 下位のものの大半を列挙したもの
  • 下位に入らないその他のもの

の3種類のものが収められる、って逆にいへば、総論とか通史*1は、○×についての論か、下位レベルの事象の列挙で成立するのだ。ま、その他はその他でしかないのでこの際ムカンケーとして。
さて、雑誌の歴史と称する本をみるとスグわかるのは、個別のタイトルの列挙ばかりで、構造的な記述があるものってものすごく少ないんよ。つまりいまだ個別具体の実証のつみあげの段階のジャンルで、本当の意味での通史がない。
これはおなじ本がらみでも流通史のほうだけど、このまへ出た柴野京子『書棚と平台』はそのジャーナリスティックな題名ながら、きわめてよく構成された本で、個別具体にはいろいろ瑕疵があろうけど、はっきりいって、日本出版史研究の画期となった本であろう。こーゆー本だされちゃうと嫉妬しちゃうなぁおじさんは。
とまあ、そんな状態なので、雑誌の通史というのも永島あたりからまた再論していかねばらなんだろうなぁ。
あ、わちきは300円でぶっくす丈さんから買ってるけど、これはぶっくす丈さんが常に安めの値段をつけるからで、底値といってよいであらう(σ^〜^)

あ、そうそうこれも

ん?(・ω・。) たしかあそこにも通史あったなあ、とて書架にはいりきらず積んでいたなかから。

これぞまさしく日本の雑誌史の通史なり。

日本雑誌発達概史
雑誌配給制度とその歴史
雑誌文化を築いた人々
主要雑誌創刊年表
雑誌発達史研究文献

と、あますところがないのー。

*1:歴史も02という総記の一種だったって知ってた? だいたい2類にもホントは通史しか分類できないんよ論理的には。戦争史なら390.2だし、政治史なら310.2だし。それを慣例やら注記やら適用細則やらでネジ曲げてるだけなのであーる。