書物蔵

古本オモシロガリズム

「雑誌には滅びゆくものゝ美がある

といったら、誇張にすぎるであらうか?」といったのハ、青木実さん。昭和5年6月8日のこと。「図書の形式を以て、最も現代思潮に近く歩みを続けるものは恐らく雑誌であるだらう。」としつつ、

古雑誌を言はるる嘗つては思潮及び流行の同伴者であった雑誌たちは、特殊なものでない限り愛蔵さるることもなく、文化の記録として遺さるることもなく、一冊の雑誌としての形を滅びのままに任してしも〔ママ〕う。雑誌としての形態を、単行本、全集のそれのやうに均しく愛好する自分は、その点を考へると一種悲痛な感にうたれもするのである。

  • 逭木實「雜誌のこと」『書香』(17) p.161 (1930-08)

と、雑誌の保存について思いめぐらしている。

東京には雑誌を専門に商ふ店が、自分の知ってゐる範園〔ママ:囲〕で三軒ある。その中の一軒は最も大規模で、その有する雑誌を大別して一、二丁づつ離れた三つの家に分けて商ってゐる。

いま、日本で唯一とかいふ「古書販売目録コレクション」(千代田図書館)を「雑誌」で検索すると。
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/findbook/kosho/

  • 雑誌類買入販売目録 第4輯 巌松堂書店 1930.8
  • 一誠堂学術雑誌目録 一誠堂書店 1930.9
  • 雑誌特殊研究号書目 文広堂書店 1932.3
  • 新聞雑誌創刊号陳列即売会 阪急百貨店 1934.9
  • 高尾書林学術雑誌目録 第24号 書林高尾彦四郎 1935.1
  • 玄誠堂雑誌書目(玄誠堂古書報) 第15輯 玄誠堂書店 1939.6
  • 明治大正文芸雑誌展観略目録 玄誠堂書店 1940.12

古雑誌の専門店3軒のうち、まあ筆頭は「巌松堂書店」だろうね、もちろん「一誠堂」も。あと1軒はどこだらう(。´・ω・)?
玄誠堂書店といふのは知らなんだ(´∀` )
国会の目次DBでみると、『古本屋群雄伝』に記述があるみたいね(゜〜゜ )
http://rnavi.ndl.go.jp/mokuji_html/000010008168.html
しかしこのDB,書誌事項に著者が表示されないって、いったいどーゆー神経してんだろ(*´д`)ノ もはや書物のイロハもわからんよーになってしもーたか。。。┐( ̄ヘ ̄)┌
それはともかく。
東京に三軒ある古雑誌をあつかう古書店にいって思うのは、

日本雑誌発生当時からの、正確な興亡変遷の記録が欲しいといふことである。さうした雑誌の変遷史にも出来るならば、その目次位ゐは転載して欲しいと思ふ。

で、青木さんは回顧的な方向だけでなく未来に向けてもかういふ。

今日只今、次ぎ次ぎと出る雑誌に対しては、正確な記事索引を作ってゆくといふ事が必要だと思ふ。