書物蔵

古本オモシロガリズム

マンガの納本もれとマジメ公務員

マンガの納本モレが話題になったようだけれど

人気漫画が国会図書館にない 「文化財」伝えられない危機も
2011/8/20 Jキャストニュース
http://www.j-cast.com/2011/08/20104770.html

どうやらこの記事はつぎのはてな匿名ブログに触発されたものらしい。

国立国会図書館に「けいおん!」が無い件
http://www.anond.hatelabo.jp/20110806220531
http://www.anond.hatelabo.jp/keyword/%E7%B4%8D%E6%9C%AC
はてな界隈の反応
http://b.hatena.ne.jp/entry/anond.hatelabo.jp/20110806220531

広報誌にしっかりはっきり書いてあるぢゃん(σ・∀・)σ

これもまた国立のPR誌に関連することが載ってた。

ただし納入依頼に当たっては官庁の末端機関や市町村などの簡易な出版物と思われるもの、民間出版物のいわゆる赤本など、意識的に除いているものがあるが、その反面価値ある出版物が発行者の住所不明による納入依頼の不能、〜 p.5
「納本の現状について」『国立国会図書館月報』(51) 2-5 昭和40.6

戦後の納本制度が発足して17年ほどたった段階で、広報誌に載った記事から抜粋。納本されない本については納本依頼をしてますヨ、ちゅー広報文なんだけど…、あるジャンルは「意識的に」やってないと書いてある。
これは、明治初めの「書籍館」時代から連綿と続いている日本国立図書館の通弊といっていいんだケド、あそこの図書館の人たちって、基本的にマチガッた国立図書館像をイメージしているねぇ。ってか、国立図書館像ってーのが、そもそもイメージがムズい。せいぜいで、大きな研究図書館(たとえば京大や東大附属)か、大きな公共図書館(たとえば都立中央)といったイメージしかもてない。というのも、国内にほかにないから、一般国立図書館論というのが日本語で(抽象的なユネスコガイドラインを除き)ない。
だから、大きな大学図書館公共図書館としてイメージしちゃう。すると、どうなるか。

とくに有能でマジメな人ばかりになると…

田原ソーイチローがこんなことを言っている。

娘の夫が面白いいい方をした。
”日本中が、学級委員みんたいな人間ばかりになってしまった”というのである。
田原総一郎の取材ノート」『週刊読書人』(2900) p.7 (2011.8.5)

ん?(・ω・。) マジメで熱心な人々ばかりでないが悪いの?
って、ふつーならまぁかまわんのだけどね。
文化的なものや政治的なものでそればっかりやってると、ダメなんだよなぁ。ところが文化っちゅーのはこまったもんで。結果からしか文化的、長期的な価値というのはあきらかにならない。
たとえば国立図書館の運営で、まじめで熱心な人々ばかりになると、すごーく短期的に正しいことばかりはじめちゃうんよ。

事例1 映画フィルムの保存をしなかったのはマジメ有能官僚が

せっかく1948年に法定されとった映画フィルムの納本を停止しちったのは当時のきちんとしたことの好きな有能な実務者だよきっと。

日本国で映画の保存ができてない本当の原因
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20081027/p1

事例2 民間パンフがこっそりごっそり… さすがマジメで有能な官僚はそうぢゃなきゃ

それから、残っていたならとっても役立っただろう昭和2,30年代の民間パンフレットがこっそりごっそり捨てられていたらしいということは、昭和40年代に斎藤昌三の弟子、稲村てっちゃんが提起してるぢゃないの

満洲大会の栞からエフェメラ論を展開す
http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20060530/p2

純粋まっすぐくんが茶化茶化と効率的にきちんきちんと整理をすすめると、くだらないものや役に立たないものがこっそりごっそり捨てられていくということになる。

マンガなんて赤本以下だよ ってか手塚マンガは赤本か(σ^〜^)

納入依頼に当たっては官庁の末端機関や市町村などの簡易な出版物と思われるもの、民間出版物のいわゆる赤本など、意識的に除いているものがある

なんて、語るに落ちるとはこのことぢゃないの。書いた本人も、あるいはそれを乗っけさせた当時の管理職なんかもそうだけど、これって、国立図書館にいちばん不適な政策順位ぢゃないの。
「末端機関や市町村などの簡易な出版物と思われるもの、民間出版物のいわゆる赤本」みたいな、いま、どこへいっても残ってないようなものを残しておいてくれるのが国立図書館ぢゃないの。
国立図書館は、外国人や100年後の日本人、あるいは宇宙人(?)にとって価値があるものを、いま、残していかないといけない。
そんな価値、現在の日本人の誰にもわからんぢゃないかってか(σ・∀・)σ
そう、あんたのツッコミは正しいなり!
だ! か! ら!!!
乙部の思想なのだ。乙部って英訳すれば、B class。B級ぢゃ。
制度論的には、悉皆収集(価値判断をしない)ということと、見せずにとりあえず倉庫にぶっこんでおくこと(つまり滞貨をつくること)を制度化できなけりゃあ、その時々で有益で役に立つものしか集まらなくなるよー(σ^〜^)