書物蔵

古本オモシロガリズム

専門誌⇔業界誌≒通信≒内報 (その2)

広義には同義語あつかい

専門誌というも業界誌というも(わちきは新聞紙と雑誌をわざとごっちゃに論じたいので、―紙でも―誌でもよいが)、「日国」の用例が、2例とも専門紙、業界紙がいっしょに出てきているように、両者は一般には同義語とされることがあるようだ。

ぎょうかい‐し[ゲフカイ:] 【業界紙】〔名〕
特定の業界の読者を対象とし、その業界に関する記事を報道する新聞。
*風に吹かれて〔1967〜68〕〈五木寛之〉赤線の街のニンフたち「業界紙とは言わずに、専門紙と言っていた」
*半チョッパリ〔1971〕〈李恢成〉二「何も大新聞でなくても、たとえば、業界紙とか専門紙なら何とかもぐりこめるんじゃないかね」

狭義には両者は読者対象が違うし、分析深度が違う

日本大百科全書(ニッポニカ)」の「業界紙」の項目で桂敬一はこういう。

特定業界内の専門紙で、読者も、当該の業界関係者を予定して編集発行されるものであることが多い。専門紙(略)に対し、業界紙は、さらに細かく、各個別産業内の情報を取り扱う業界専門紙ということができる。内報、内報紙と称されることもある。英語ではtrade paper, business paperといわれる。

どっか他でも読んだけど、業界誌は業界人だけが読者層、専門誌は一般ね。
でもそれだけじゃなくて、分析深度というか情報の粒度というか(両方とも図書館情報学用語)、カバーする領域の広さが違う。業界紙のほうが狭い。
そう、ちやうど、専門誌がNDC2桁(左からですヨ(σ^〜^))、業界誌が3から5桁というところかすら。

でも、違いはそれだけぢゃない…

けれど、上記の協会1977にあった座談会によれば、専門誌がわには業界誌と同一視されるのを迷惑がる風潮があったよう。

kakikake

どうやら、業界誌の一部には総会屋雑誌というか暴露誌みたいのが結構あり、いやがられていたようなのだ。
って、1982年だっけ、商法が改正されたのは。

「内報」「通信」と業界誌の関係

桂敬一は「内報、内報紙と称されることもある」と書いているが、この「内報」というのが業界誌の起源のひとつね。
いやサ、実はわちき、だれもおっかけとらん「通信」という定期刊行物(の種類)をおっかけとって、それもまた業界誌や専門誌の起源になったんだけれども。
でもまぁ、「内報」はそのまま「業界紙」となったといへやうか。

日本では資本主義の発達とともに、1890年代ごろに誕生、発展していったが、第二次世界大戦中、1941年(昭和16)の新聞統制で一業界一紙体制とされ、現在の業界紙の多くは戦後に創刊された。

桂は起源の年につき布川1971を踏襲しとるね。
また「業界紙の団体としては日本専門新聞協会があり」ともあるので、ここで桂は業界紙と専門紙を同義語としている。
ん、でも一応わけたほうがいいと思う。