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古本オモシロガリズム

業界誌(業界雑誌)てふコトバ

業界誌(業界雑誌)てふコトバは、いま見たところ、1937年の事例が古い。明治大正期にはなかったコトバかもしらん。って、かはりにあったのが「内報」「通信」ね。

  • 「深町氏業界誌招待」『印刷雑誌』20(6),p.66、(1937-06)

深町氏業界誌招待
 今回東京活字製造組合組合長に就任せる江川活版製造所主深町貞次郎氏は、六月四日午後六時京橋区築地ひさご家に業界雑誌社、印刷タイムス、印刷情報、印刷往来、印刷材料新報、日刊印刷、本社並に東京印刷同業組合牧書紀、及活字研究家三谷幸吉の諸子を招待、主人側に同組合副組長藤田茂一郎、同富田富太郎、並に鈴木角治の諸氏陪席して一夕就任披露宴を張られた。開園に先だち、〔略〕

題目では「業界誌」てふ「雑」のない縮約語を使ってる。 「業界雑誌社」として、当時、

印刷タイムス
印刷情報
印刷往来
印刷材料新報
日刊印刷
印刷雑誌

がわかるね。
三谷幸吉(みたにこうきち1886−1941)は労働運動家で印刷研究家。組合の牧書紀は、こりゃあ、牧, 治三郎 || マキ, ジサブロウ だねぇ。
この「業界誌招待」というのは印刷各社の合同企画もどきだったらしく、次の月も。

  • 「凸版井上社長業界誌招待」『印刷雑誌』20(7),p.59、(1937-07)

てふ記事がある。

凸版井上社長業界誌招待
凸版印刷株式会社々長井上源之丞氏は七月二十七日午後六時上野精養軒に都下業界誌なる印刷材料新報、日本印刷タイムス、印刷情報、印刷往来、日刊印刷新聞、紙業日日新聞、経済通信、印刷文化通信、新聞之新聞(欠席)、本社並に東京印刷同業組合時報編集委員岡千代彦氏他四名等を招待、同社より井上社長を始め米田、鴨井、黒瀬、山田、河合の各重役出席、井上社長から約一時間に亘り今回の凸版会社の印刷工業組合脱退理由に就いて説明があり、二、三質問応答の後ち晩餐を共にして散会した。

ん?(・ω・。)
呼ばれとる雑誌社が増えてをるね。これは凸版が大盤振る舞いしたといふことか(・∀・)

印刷材料新報
日本印刷タイムス
印刷情報
印刷往来
日刊印刷新聞
紙業日日新聞
経済通信
印刷文化通信
新聞之新聞(欠席)
印刷雑誌
東京印刷同業組合時報

凸版のほうが広く呼んでいるね。「経済通信」は、産業界全般の業界誌で、印刷業も重視しとったのだろう。「新聞之新聞」は新聞だけでなく出版や印刷もフォロー。

  • 次の月

「組合時報二つ」(p.62)として、『東京印刷同業組合時報』160号になったが、牧治三郎が退職したので混乱がみられるとか、『名古屋印刷同業組合時報』が、「今迄謄写代りの時報であったのが」、「堂々たる雑誌」になったとか、紹介してゐる。『名古屋…』について言ふと、それまでは「代謄写」で出版届&納本をしてゐなかったといふことか。

印刷材料新報
日本印刷タイムス
印刷出版研究所
日刊印刷新聞
印刷往来
印刷文化通信
新聞之新聞
紙業日日新聞
印刷雑誌

印刷情報』がなくなってるね。

日本印刷タイムス
印刷出版研究所
印刷材料新報
印刷往来
新聞之新聞
印刷雑誌