書物蔵

古本オモシロガリズム

戦前(及び昭和31年まで発行)の写真絵はがきはパブリックドメイン

フシギな法解釈

ところでここ10年ほど第二次絵はがきブーム(といってもputitなんだけど)。
それで日本語の絵葉書がらみのHPを見ていると、たまにフシギな(日本)著作権法解釈が書いてあって、釈然としないことがある。とくに写真えはがきについてなのだが、無断転載禁止とかなんとか。
いや、だいたいそれやってる人たちがHPに載せといて(=無断転載or公衆送信)、そりゃあ(法的には)ないでしょ(もちろん、HP自体には創った人の著作権があるし、絵はがきDBには編集著作権もあるかも)。
というのも、結論からいうと戦前のほとんどの絵葉書はHPに載せてもいいのは、もう著作権自体が消滅しとるものがほとんどだからでは。
現行法制下においては、絵画エハガキは絵画の著作物に、写真えはがきは写真の著作物に比定されると思われる。日本著作権法やその解釈の主流派がすばらしいものだとは、ぜんぜん思わないが、いちおー、日本法に準拠するつもりなら知識として知っておかねばの(=゚ω゚=)

著作権法で弱かった写真の保護がそのまま消滅

もともと写真は、機械的に撮れると考えられていたので著作権保護が弱かった。だから、1956(昭和31)年末までに発行された写真の著作権は1966(昭和41)年末に消滅してしまった(その後の法改正においても復活されず)。これは新法(1970)の世界での話なのだ。

写真えはがきはOKっぽい

つまり「写真の著作物=写真えはがき」とすれば、

日本では1956年以前発行の写真絵葉書は著作権が消滅しており、自由に使える

ということになる。もちろん著者(≒撮影個人)が生きていれば著作人格権だけは保護されるらしいが。

絵画えはがきがややこしい

ん?(・ω・。) 逆にいうと、「美術の著作物」つまり絵画絵葉書はフツーに権利保護されちまうということか? だとしたら、タイヘンぢゃ。復刻されるような名のある画家ごとに没年から50年間は絵画エハガキも著作権が保護されちまうということだから、事実上、絵画エハガキの復刻はほとんどできなくなっちまうではないか。
ん?(・ω・。) でも、画家が社員として職務著作したと考えるなら、記名があっても(担当者名とみなして)50年たってれば自由に復刻ができそうな気も。あるいは無名のものは発行後50年で著作権が消えてると考えれば、同様のような気も。
昭和前期には、私家版の絵画えはがき(絵手紙ではない。印刷するので)を交換するのが趣味人に流行ったんだけど、あえていればそういったもの(幸か不幸か記名があることが多い)が、著作権がまだ残っている可能性が高い。

所有権はいま持っている人のもんだけど…

エハガキの所有権・占有権はいま持っている人が持っているわけだが、戦前・戦後(-S31)の写真エハガキであれば、著作権そのものがもはや存在しない。みなの共有物として自由に使えばよい、というのが現行日本法ということになるのではないか。
その意味で、つぎのサイトはおおむね妥当な解釈をしていると思う。

各絵葉書の著作権は消失しており、所有権のみ「長崎の手彩色絵葉書(ehagaki- nagasaki.com)」にあると理解しています。
もし画像を何かに使用したいということであれば、メールにてお知らせください。
大きな画像をお送りします。

えらいなぁ(^-^*)