書物蔵

古本オモシロガリズム

受入印が「2004.8.1」以前の本はすべて、今でも貸与権はない!?(゚∀゚ )

こんな名前の事件の判決があったそうな(*´д`)ノ

北朝鮮の極秘文書」図書館蔵本事件

判決文→PDFなので注意
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100408163542.pdf
事件そのものは業界一部でうわさになておったね(・∀・)
原告が出した資料集がまるまる韓国の出版社にパクられて、それで怒っちゃったのはご同情申し上げるんだけど、今回訴えられたのが韓国の出版社じゃなくって、そこから買ってた日本の大学図書館いくつかだってーのがミソ(σ・∀・)σ
結局、原告の主張はすべて裁判所により退けられたんだけど、裁判所がそこで著作権法の解釈をしておって、そのうちにいくつか図書館がらみのオモシロ解釈があるというわけ。
コピライトさんとこで紹介されてたから判決文を読んだんだけど、紹介がいまいちピントはずれ。とくにオモシロなのは貸与権の及ばない範囲ではないかと、ここに紹介するっち(o^ー')b

平成16年法律第92号附則4条で貸与権が適用されない図書は、貸本屋のものに限らないとぞ(゚∀゚ )アヒャ

裁判官は判決でこんなことをいうてをる(σ・∀・)

 「貸与権が変遷した経緯からすると、現在、貸与権が及ばないのは,貸本業者が所持する図書雑誌に限られると解釈すべきで、大学図書館には貸与権が及ぶから著作権侵害ぢゃ!」と原告は主張するけれど、それを決めた肝心の附則4条にも、削除前の法附則4条の2の文言にも、貸本屋がどーのとは一言も書いてない。つまり、貸本業者が所持する図書雑誌に限定されると解釈すべき文言が肝心の法文にないでしょ。だから原告の主張は採用できないよ。

あくまでわちきが読み取った要旨。原文つぎのとおり

(3) 原告は,貸与権の規定の制定,変遷の経緯からすると,平成16年改正法附則4条,同改正法により削除される前の著作権法附則4条の2により貸与権が及ばない書籍又は雑誌の範囲は,貸本業者が所持する書籍又は雑誌に限定されると解するのが相当であると主張する。
 しかし,平成16年改正法附則4条及び同改正法により削除される前の著作権法附則4条の2の文言上,貸与権の規定が適用されない書籍又は雑誌には,主として楽譜により構成されているものを除くとするほかには何ら限定はなく,貸本業者が所持する書籍等に限定されると解すべき理由はないから,原告の上記主張を採用することはできない。」

しかし、判決文・法律文というのは法曹のテクニカルな要請によるものとはいへ、悪文だのう。でも、ま、論理的ではあるから、上記のようにすぐ判りやすく翻訳できるが。
附則の4条とは、次の法律のことで。

平成16年法律第92号附則4条
〔平成16年8月1日〕において現に公衆への貸与の目的をもって所持されている書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)の貸与については、改正前の著作権法附則第四条の二の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/kanryuu_houkaisei_honbun.pdf

裁判官がいうことがホントなら、2004.8.1以前の受入印をもつ本はすべて、上記の附則が生きてるかぎりはずっと貸与権が及ばないということになる。
イトーヨーカドーの子供図書館が2004年以降ずっと違法な貸出(=貸与)サービスをしていたかと心配だったけど、この判決が正しくばほとんどの貸出は合法だったということに(もし、2004.8.2以降の受入印が押されていたものが貸出されていればそれは違法)。
しかし、これが本当なら、零細貸本屋でも、新しい本は著作権者の許諾を取らないといけないということに…(((( ;゚д゚)))アワワワワ