書物蔵

古本オモシロガリズム

松下三鷹書誌

戦前期<雑索>には「松下三鷹」で5件あるも、うち4件は既知の単行本の書誌が載っているのみ。あ、でも1件は、NDL・Webcatなしの単行本書誌(日本年号宝典)であった。これの出版社・出版年はググったら中国のサイトにあった。

  1. 起源常識 / 松下三鷹. -- 昭文社, 1939
  2. 楠公外史 / 松下三鷹. -- 高志書房, 昭14
  3. 日本年号宝典 / 松下三鷹編. -- 東邦書院, 昭14
  4. 『海国二千六百年史』(興亜日本社)(未出版?昭和15年ごろ)
  5. 楠公外史 / 松下三鷹. -- 東邦書院, 昭和15
  6. 始 : ものごとのはじめを知る書 / 松下三鷹著. -- 東邦書院, 1941  1とほぼ同内容
  7. 八幡船(バハンシェン)の史的考察 / 松下三鷹著. -- 東邦書院, 1942
  8. 海軍大学校講究録 / 松下三鷹/ほか著

『始』はひととおりの事物起源だが、「観艦式のはじめ」として次のような記述がある。

(明治初年だという説があるが)世界に冠たる日本の海軍は左様に新らしいものではありません。
日本書紀神功皇后記にある三韓征伐の條りに(以下略)(p.46)

なーるへそ。
これは当時の海軍にとってもフィットした言説なり。陸軍に十分対抗できるね。まさしく対抗神話。これじゃあ正統史学の主題書誌には出てこないわけだ。
『八幡船の史的考察』のほうでも、「倭寇」というケシカラン表記は、昭和16年2月から「八幡船」という政治的に正しい表記に変わったとある(しかしなんでS16.2なのかワカラン)。
追記
ゆにかネットを忘れてた。刊行年不明の8を追記。けどこれ単行本というよりも論文集で、詳細書誌をみると内容細目は以下のとおり。

八幡船と自衛権 松下三鷹著. 印度の問題 伊藤敬著. 八紘一宇の精神に就いて 日本史の諸時代 高山岩雄著. 重職心得箇条解説 安岡正篤著. 人格に就いて デュルクハイム著.

ほへー(・o・;) 安岡正篤とかデュルクハイムとかと一緒。しかし八幡船(倭寇)と自衛権国際法)をつなげて論じるとは… またもほへー(・o・;)
ちなみにこの書誌にNDC:390.1 件名:海軍-日本がついてるけど、典型的な間違いだね。正しくはNDC:041あたり。