書物蔵

古本オモシロガリズム

偉大なる雑誌蒐集家の死

出版ニュース』(2006.7下旬号)に載ってた。

雑誌蒐集家の死

福島鋳郎氏が6月下旬亡くなられた」
この人、(そのスジでは)有名な雑誌蒐集家だね。福島, 鋳郎 (1936-) ‖フクシマ,ジュウロウ

福島氏は取次会社の日販の警備員として勤務のかたわら、時間をつくって、雑誌の収集のために古書店を回っておられた

ってのは一部では有名なハナシ。
警備員かぁ… わちきもやったのう。へんな事件がいろいろあって勉強になったけど、たしかに警備員はせどり師のごとく古書展にいく時間がとれるね(^-^)
わちきがこの人を知ったのは、参考調査法の授業で、この方がつくった戦時中の雑誌記事をしらべる索引、『シリーズ大東亜戦争下の記録』をおそわった時になる(って、名前までは認識せず)。
単行本はね。なんとかなるんよ。たいがいのものは。
実際、カネさえ惜しまなければ買うことだってできる。たとえば、衛藤利夫の部下だった人が書いた、こんなのも、こんど来た古書目録に8千円ででているなぁ。
満支典籍攷 / 植野武雄. -- 奉天大阪屋号書店, 1944
けど雑誌はね。カネじゃない。手間。(と、置き場。)
ほんとは、賤業、じゃなかた専業の職員と置き場がある図書館がうけもつべきなんだろうけど。

図書館は雑誌を軽視している

(この項目は7/30へ移植)

民間の篤志家と、ごく一部の図書館が

で、福島鋳郎さん。
個人でこつこつと雑誌をあつめ、さらにまた書誌や記事索引をつくるというのはなかなかできることじゃないよ。とくに集めただけじゃなくて、きちんとその成果を世にだしているところがすんばらしい。こーゆーのをホントーに「生産的読書*1」ってゆーんだねぇ。
わちきもこのまえ戦時中の雑誌記事索引をちょっと引いて見たよ。中田邦造のが1件載っていた。いや、ほんとはあーゆーのは大図書館がやるべきもの。
ほかにも、民間という点では大宅壮一文庫があるね。こっちは有名。で、やっぱりこっちも、社会評論家の大宅壮一の個人コレクションがもとになっている。大宅文庫の目録(専門的に正しくは、雑誌記事索引)を知らないと人生半分損するよ…(褒めすぎ?)

【快刀】三種の神器で古雑誌をなぎたおせ【乱麻】

書庫ンなかに、「物理的」に存在していたとしても、それがユーザ(これには、おそろしいことに司書が含まれちゃうのだ…)にとって「ある」ことになるには、目録情報として採録されるかされないかにかかってきてしまうのだ。
ところが、さっきの「雑誌軽視」の延長なんだけど、雑誌についてのデータ整備も伝統的に(単行本にくらべて)図書館学ン中では等閑視されてきたのだ。
「ある雑誌をどこがもってるか」
「その雑誌にはどんな記事がのってるか」
そもそも「こんな主題の記事は、どの雑誌の何号に載っているか」
ってのがわからなきゃ、資料・史料として雑誌をつかうことはできない。
もちろん、当座の用としての新着雑誌ってのは別だよ。
販売雑誌なら新刊書店の店頭にいけばいいし、通販のならきちんと家に届くはず。わちきだって、彷書月刊は〒だし、古通は……、たちよみじゃ…
資料としての雑誌をつかうには三種の神器がいるのじゃ!

ニーズ ツール名 頒布形態
ある雑誌をどこが持ってる? 蔵書目録* 各館の冊子**、NDL-OPAC, Web-CATなど
その雑誌にはどんな記事が? 総目次 各誌収録、単行本・資料もの***
こんな記事はどの雑誌の何号に 雑誌記事索引 大宅目録、NDL-OPACのオマケ索引

注* タイトルレベルの情報は、基本的に単行本と同様にして調べる。
注** 雑誌は単行本とは別にでる(か、まったく出ない)こともおおい
注*** 『近代雑誌目次文庫』(ゆまに)とか
もちろん、英語の世界じゃもひとつ「引用索引(citation index)」ってのがあるけどね(これについては、日本のNIIのは、いまだ「からっぽの洞窟」)。今の日本で実用的なのは上記3種類。
で、雑誌記事索引をつくるのが、ものすごく大変なのだ。だいたい、経済的にペイしない(のに、なぜ大宅はペイしてるのかのー。ってこれは純粋な疑問)。
だから日本では昭和23年以来、大きすぎる図書館が直営で(索引官僚が)製造してきた。

「世界で最も優れたネットサービス」ってナニー????(・∀・)

産経新聞(大阪版)の(2006.6.29)にこんなスバラスぃーものが紹介されてた。
ってそれは…
どうやら、この索引をつかった郵送コピーのことをいっているらしい…
(つづく)

*1:反意語は消費的読書