書物蔵

古本オモシロガリズム

帝国図書館長松本喜一についての文献

わちきの4/10記事に,引用した文献について質問がきた。メアドまで書いてくれたけど,一般性がある話なのでここにお答えをupしちゃう。画像→は『図書館雑誌昭和17年11月号口絵の松本氏

記事「帝国図書館と私」が載っている文献

松本喜一の「帝国図書館と私」という記事の入手法についてなのだけど…
この記事,おなじ記事の直上で言及している単行本の一部です。
『書斎と読書』三省堂 昭和16
でもって,この本は米国議会図書館(Library of Congress)にもあるみたい。

Shosai to dokusho / [hensha Sanseido].
Tōkyō : Sanseido, Shōwa 16 [1941] (Showa 17 [1942] printing)
5, 296, 1, 8 p. ; 19 cm ]

なーんと(+o+)LCは結構,日本語文献を持っているのだ(だから米国議会図書館件名から日本語文献が検索できたりもする)。
とゆーことで。
LCで閲覧か複写をせられたい。あるいは日本の国会図書舘に複写依頼するとか。
ただ,この「帝国図書館と私」は数ページだし,そんなに大した記事ではありませぬ。

文献は少ないが…

これから先はサービスですよ〜
質問者によれば,松本喜一についての文献はほとんどないというけれど…
それもあたりまえ。
だって…
松本喜一は極悪人」とゆーことに戦後日本図書館史学ではなってをるからぢゃ (・∀・)

極悪帝国の極悪官庁・文部省から,善玉・田中稲城を追い落とすべく送り込まれ,極悪制度たる中央図書館制度を作り,極悪政策たる思想善導に協力した極悪図書館官僚

ということになってをーる(・∀・)(って,これはみんなの脳内妄想を極端に分かりやすく書き出しただけですよー)。
おそらく,だからだろうが,10年ほど前,図書館協会が創立何周年かを祝った時のパネルか何かで松本喜一をほとんど扱わず,遺族にどなりこまれた,という噂(活字にはならなかったゆえ,未確認)を聞いたことも。
それでも…
「よいことはコソーリとしかしない国会図書舘*1」には,これまたあまり知られていない「雑誌記事索引」というDBの入口がOPACに隠されてをる。
それの論題名のフィールドに「松本喜一」と入れると…

雑誌記事索引 1−2(2件)
1. 源流から辿る近代図書館(35)初代文部省社会教育課長乘杉嘉壽と二代目帝国図書館松本喜一 / 石山 洋
日本古書通信. 68(10) (通号 891) [2003.10]
2. 元帝国図書館長 松本喜一著作目録 / 鈴木 宏宗
参考書誌研究. (54) [2001.3]

たしか松本喜一については,没した直後の岡田温による追悼文があったきり。たしか

出好きで派手好みだったが,足もとを固めてくれと泣いて頼んだら解ってくれてウレシかった(あくまで要旨)

とかいうものだったような憶えが…
で…
上記2点のうち1は語り来たり語り去る形式のものに対して,2の方は論題にbibliographyと銘打ってあるから,こっちオススメ。
まぁあとは,わちきも未入手の協会刊『近代日本図書館の歩み』(1993)とかかなぁ。
でも,ここ50年以上もほっぽらかされていた人物の文献がでるとは… もしかしてこれは復権の予兆か? って,おんなじ構造が某情報官さまにあった気も… (・∀・)
これから戦前の図書館史をやろうとするのならば,1970年代までの「戦前=悪」という単純な図式ではやれないのう。

*1:って喜んじゃダメだよ。「鳴り物入り事業は頓珍漢」というイヤミですよ〜