書物蔵

古本オモシロガリズム

レファレンスサービスについて

家人に聞かれた。まったく図書館を利用しない人,というかこの家は明治はじめにここに来て以来,ずっとごく最近まで図書館というものに無縁な地だったのだ。図書館など利用しないのが普通の庶民,常民なのだ。
インターネットや,そのなかの検索エンジンの普及により,そんなサービスは要らなくなるのでは,という考えらしい。
まってました。というか,それはinternet普及初期にわちき自身が考えた疑問だから。
その疑問には2つの理由で,NOなのだ。
ひとつめ,これはあまり本質的ではない方。答えのほとんどが紙資料にしか(まだ)ないから。
netの世界は,問いはあっても答えがないことが多いし,たとえ答えがあっても証拠能力が低いことが多い。その点,まだ紙世界のほうが最終的な証拠としてつかえる。紙資料が系統だって収蔵されているのは,サーバではなくて図書館だから,というのが第一の理由。紙資料への橋渡しは,生ける図書館員のリファレンスサービスということになる。
ただ,これが本質的でないというのは,(本文レベルまでの)遡及入力がすすめば技術的には解消されていくということがある。ただ,これは技術決定論的な(つまり常に間違った)見方なので,十分にカネがかけられる領域か,ほんとの趣味の領域かでしかテキストレベルの電子化は進まないだろうけど。
ふたつめの理由のほうが本質的。
情報の流通チャンネルが増えるだけ。
いつまでたってもチャンネルは複数。いつまでたってもネットに出てこないのに図書ならざらにある情報だってあるし。
すると必要になってくるのは,複数のチャンネルを使い分けることを指南する人。これにレファレンスライブラリアンはなればいいと思うのだ。いつまでたっても仕事なくならないよー