書物蔵

古本オモシロガリズム

帰ったらまた掘り出し 日本初のリファレンス論本

久しぶりになんとなく「日本の古本屋」をブラウズしてみる。すると,のっけから掘り出しが!
レファレンス / 志智嘉九郎. -- 日本母性文化協会, 1954  500円
さっそく注文! ここだけの話,5000円でも買ったと思う(悩んだ末にでだろうけど)。
しち・かくろうは日本のリファレンス業務(レファレンスとも)の父。このブログでも何度か言及したよね。参考調査とか相談業務とか,はたまた考査なんて訳語もあったけど。意外なことに日本のレファレンス論は東京でも大阪でもなく,神戸からはじまったのであった。上記はその日本で最初の単行本(同じ内容の文部省社会教育局版あり)。めずらしめずらし,というか,自分の古本道ではじめてこの本に出会ったなり〜(あとで友人Aにもおどろかれた)
うーん,東京に帰ってきたなりこんなレアで貴重な真性図書館本をゲットできるとは… さい先よいなり
まだ在庫があるか否かの返事がまだだから油断はできんけどね。

日本リファレンス小史

日本のリファレンスってのは流れがいくつかあって,まず戦前の帝国図書館からの流れがある。これがまぁ保守本流というか,戦後の国会図書舘へとつづいている。ただこの流れは実務中心でリファレンス理論とかにはあんまむすびつかなかった。おしもおされもしないから,理屈をこねる必要がなかったというのがわちきの見立て。実務の結果としてリファレンスブックはいくつか開発されたけど(太田為三郎「日本随筆索引」とか,「明治・大正・昭和翻訳文学目録」とか,いまだに使える),淡々と実務をしていた,とゆー感じかなぁ。リファレンス論について書いたのは,それこそ稲村さんぐらいでは(稲村さんらしく,帝国図書館のリファレンス史という歴史学的アプローチだった憶えが)。ただ実務としていくら展開されていても,論として他の図書館に移植可能な程度にモデル化されないと広まらないからねぇ。
そんで戦後になって米国流リファレンス論が輸入されて,日本図書館学校やらなにやらでさかんに講義がなされた。んで,この流れは実務界とゆーよりも後の図書館学界へ継承されていき,現場への影響としては大学図書館の一部にとどまった気配がある。
日本原産で実務にも理論にも影響したのは志智カクロウあるのみですねぇ。神戸市立図書館で,独自のリファレンス実践と,独自のリファレンス理論をつちかったのだ。そーゆー文脈で,この,日本最初のリファレンス論本は,記念碑的存在なのだ。わ〜い
え? 志智の流れはその後どうなったかって? えーと,それはごにょごにょ… あんまりはっきり書くとまた図書館政治ネタになりかねんので… とにかく途絶えたと言っていいのでは。