書物蔵

古本オモシロガリズム

間宮の「国会図書館乱脈事件」観 はずれた予言

即売会「がらくた市」の最終日。じつは開始日に一度きてたのでした。それにその時にも2回ぐらいみて廻ったし。その時はなんにも買わなかったです。
ところが,某図書館へ行きがてら,ちょっと試しにまたのぞいてみた。ネットで2割引だって知ったから。たしかに週明けに割り引きすれば,私みたいに買いに行く人はでてくると思う。いいアイデアだ。
「○○○と人生」という背文字が見えたような気がした。○○○って,もしかして図書館?! じっと目を凝らす。み,見えない。そういえば「図書館と人生」なんてタイトルの本もあったような気がしてきたぞ。
手がのびる。そういえばこの前これとそっくりな版型の図書館本を買ったなぁ。たしか「間宮不二雄の印象」とかいうものだった。えっ,なんかおんなじ名前が書いてあるような気がしてきたよ。あれれ。同じ本なの? でも違うよなあ。なんか不思議な感じがしてきた。
どひゃ,これ本物の図書館本じゃないの!
図書館と人生 / 間宮不二雄. -- 間宮不二雄古稀記念会, 1960
これまだ持ってないよ。だってp.226からの「乱脈の国会図書館」なんて文章,読んだ記憶ないもの。間宮は「図書館も世間並み」としたうえで

国会図書館は)十年来無為にあぐらをかいてきた

と指弾し,

わが国図書館事業推進ためむしろ慶すべきこと

ときびしいね。この事件が日本図書館界にとってどんな意味があったかは,むしろ今こそ論じることができると思う。参考となる論文も最近でたことだし。結論だけ書いとくと,間宮の意見とは逆さに,全国レベルでは事業は阻害されたわけだが。でも,その論理構成はまたの機会に。
本の状態は並。造本は痛んでないので大いに満足。けど背文字はかすれてて見づらいね。3千円(の2割引)でした。とってもお得。ちなみに前の持ち主のしおりがp.226にあった(笑。「丸善ライブラリーニュース」no.66の間宮関係記事のきりとりも挟まれていて二重にお得。
こうしちゃいられない,って訳で,その書店の出品の前をいったりきたり。何度も。見えてきましたよ〜。背文字がぜんぜん見えない本が。どこかでみた版型,布地ですね。でました。
図書館小識 / 和田万吉. -- 増訂(再版). -- 丙午出版社, 1925
2100円(の2割引)。むちゃお得。フォクシング(点々の茶色いシミ)がややはげしいけど,造本はしっかりしてる。じつは今もってるやつ箱付き美装なんだけど,造本に難があるんだ。
それからほかにも2,3拾いモノ。たとえば,趣都の誕生 / 森川嘉一郎. -- 幻冬舎, 2003.2 がカバ欠で200円。読めりゃいいんでこれはお得。出たときに半分くらい立ち読みしたんだけど。
今日も図書館本を買えた希有な日だった。
けど,これを書くんで「図書館と人生」のNDLのNDCが,049.1になってることにびっくり。010.4だと判断せざるをえないがなぁ。ま,こういうことやるんですよねあそこは。

追記

国会図書館乱脈事件は,後に「春秋会事件」と言われるようになった。また,戦前の図書館本は極めて珍しい。それでも「小識」はあるほうだけどね。「復刻図書館学古典資料集」の一冊として復刻されている(1978)から読もうと思えばすぐ読めるよ。