書物蔵

古本オモシロガリズム

ツイッターでゲットしたもの

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一(いち)

届出書省略の許可証を見る

池袋、神保町、高円寺と、実は大変忙しい。
本来の研究が進まぬ困った∩(・∀・)∩
それはそうとツイッターで重要な資料を見せてもらったのでここに引用する。

これ、現物は初めてみた(・o・;
この許可証は、保存しておいたほうがいいと当時されていて、納本証明書がわりになるとか(σ・∀・)
納本証明書を内務省は出さなかったので、届出書省略の許可証が、その代わりになるよ、と当時の出版マニュアルに書いてあるのだった(σ・∀・)
詳細は次の文献の解題にあるよ(σ・∀・)

  • 文藝同人雑誌出版 マニュアル : 戦前版 / 小林昌樹 編・解題 金沢文圃閣 2017 (書物史誌コレクション ; 1)

てか研究史的には逆で。
いままで内務省が発行者に対して受け取り証書を出してこなかったとも・きたとも問題自体が建てられてこなかったのに、戦前の同人誌出版マニュアルが発掘されたら、そこに、受け取り証書を出してもらえないから、届出書省略許可書が代わりに地元官憲向けに使えるよ、と書いてあって、その記述から逆に受け取り証書が出ないということが初めて実証された、というわけ(´・ω・)ノ

講義プリントの始まりは明治末?

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何度か拙ブログで講義プリントに言及したことがある。
いまツイッターで「「東大ノート交換クラブ」とか「辛酉社」といった昭和前期にプリントを出したところが話題になってたので、改めて国会図書館の蔵書目録を引いてみたら、思っていたよりもずっと早く、明治末から講義プリントは出ていたらしい。

  • 物権法講義 (明治44年度東大講義) / 富井政章 述. 東京帝国大学, [明44] <14-648>
  • 国際私法 上巻 / [山田三良 講]. [ ], 〔大正--〕 <14-649>

といったところで、受入登録印を見ると、納本でなく購入(購求)となっている。

買うべきか買わざるか?! それが問題だーーって問題になったのは大正昭和から???

例の「正統的な読書」に所有・占有問題がある。今の日本インテリの正統的読書観によれば、本は自分で買って所有すべきもの。しかし、この意見が主流になったのは果たしていつからなのだろううか? 岡村「江戸の蔵書家たち」を見るに、本を買えた人は多くなく、また、筆写してコピーを

一体日本人ぐらゐ読書しないものは無からう。事々しく理窟を云はないでも一軒々々家底を尋ねて見ると解る、西洋人の家へ行つて見ると、中東生活以上の家庭には必ず書斎がある。学者で無くとも相当な書籍を持つてゐる。処が日本人の家に書斎のあるのは中等社会の百軒に一軒とは決して無からう。

魯庵はこういって日本人は「不読書国民である」として「日本人全体が読書の害を受ける程に読書を好んでをらんのだ」という。
内田魯庵「多読する乎多作する乎」『文章世界』8巻1号(大正2年1月)

「デジタルアーカイブ」の淵源はアーカイブでなく……

こんなんもらった(´・ω・)ノ

ざっと見た第一印象を書くなり(。・_・。)ノ

3300円とはずいぶんと安い設定だなぁ(゜〜゜)
けふの夕方ポスト見たら入っててびっくり(@_@;)
感謝々々ですぢゃヾ(*´∀`*)ノ゛
さっそくざっと見たらいろいろ面白いことが書いてある。
わちきディジタルアーカイヴ論に興味あんまないんだけれど、それゆゑ、流行りの概念でこういった俯瞰できる概念説明や政策論の本はありがたい。たった3300円で専門家の話が聞けちゃふ。
そもそも「デジタル・アーカイブ」なる言葉は、日本発祥だとあって、びっくり(@_@;)
そういや「情報社会」や「知識経営」ももともと日本発祥の言葉だったなぁ(゜〜゜)
ちゃうど外地から内地のことが先に言語化されたやうに、文明の周辺国だからかな日本ハ。
戦前、朝鮮に『読書』てふ雑誌があってだねぇ。それを読んだら、内地の図書館学や各学問の全体傾向がちゃんと言語化されてゐてビックリしたことがあるよ(´・ω・)ノ
あと発表年代や注で参照されている文献が意外と古いーーとはいへ1990年代とかーーことにも気づいた。
これは、わちきが指摘するのもなんなのぢゃが、前著『文化情報資源と図書館経営: 新たな政策論をめざして』でも同様で。

文化情報資源と図書館経営: 新たな政策論をめざして

文化情報資源と図書館経営: 新たな政策論をめざして

このお人、流行りの概念・事物を論じるわりに、長期的に持つ議論を展開してんのよ(σ・∀・)
流行りを、短期的な観点でアワテテ議論する手合いならいつでもどこでもおられるけれど、長期的な観点から議論、というのは実は結構めづらしい。前著も図書館経営論というと、実務を単に記述したものか、よくて行政制度とのマッチングを記述したもの(薬袋・糸賀共著のことだわさ)ということになるけれど、事業の固有性と経営学一般論を組みあわせた学術的な本って、日本でこれ1冊だけなのでは。
これはこのお人が哲学だったか美学だったかの出身だから概念に着目してっからだらうなぁ(゜〜゜)
でも、この本でイチバンおもしろなとこハ、そういった出自や形式にあるのではないだろう。
この本でイチバンおもしろなとこハ。
デジタルアーカイブは、文書館活動から出てきた概念ではない、と説明しているところ。
ん?(・ω・。)
ぢゃあ、どっから来たんだってか。
そう、
図書館事業。
デジタルライブラリーから来た概念だという。
さういや、図書館ってば、紙時代から「複製」しか置いてなかったねぇ。まだ詳しく読んでないがそこいらへんが効いてるのかな。
複製技術時代の芸術、ってヤツ(σ^〜^)

近代「読書論」名著選集

國學院博物館の帰り、都立中央で次の本をチェックした。

  • 近代「読書論」名著選集 (書誌書目シリーズ ; 37). ゆまに書房, 1994.6

細目は次のとおり。

第1巻: 訳書読法 / 矢野文雄(龍溪)著
ーーー学海針路 / 渡辺重石丸著
ーーー読書法 / 沢柳政太郎著ーーー
童蒙学初 / 真左樹繁,古川躬行著
第2巻: 勤学要訣 / ジョントッド原著 ; 吉田巳之助訳
第3巻: 学術研窮法 / 小野松塘著
ーーー学問之方針 / 宮川鉄次郎著
第4巻: 読書次第 / 西村茂樹
ーーー学術自修法 / 飯泉規矩三著
第5巻: 読書法 / 星野久成編
ーーー自修論 / ブレッキイ原著 ; 永田留六郎訳
ーーー偉人と読書 / 内村鑑三
第6巻: 読書作文法 / 川上五平編
ーーー読書法 / 山路一遊著
第7巻: 読書と静坐 / 吉本襄著
ーーー学生読書法 / 駿台隠士著
ーーー独学自修之道 / 隅谷巳三郎編
第8巻: 読書案内 / 西村文則編
ーーー学問の話 / 加藤弘之
ーーー文学研究法 / 坪内鋭雄著
第9巻: 読書と修養 / 登張新一郎著
ーーー最新読書法 / リチャードソン著
第10巻: 読書廼栞 / 二六新報読書廼栞記者編
ーーー立志成功勉学の要訣 / 椋木市世著
第11巻: 読書便覧 / 山方香峰著
ーーーらすきん氏読書論 / 小林一郎訳述
第12巻: 読書の趣味 / J.ボールドウィン著 ; 生田弘治訳述
ーーー読書力之養成 / 横田章著
読書力の養成 - 国立国会図書館デジタルコレクション

第13巻: 読書法 / 竹貫佳水編
ーーー世界文豪読書観 / 高橋五郎訳
第14巻: 古今名家読書要訣 / 寺沢鎮
ーーー読書法 / 加藤咄堂著

世界の古物市場と珍商売をたづねた外山与治郎

かの古本乙女、カラサキ先生をもんもんとさせた本を書いた人のことは、八木福次郎さん同様、わちきも全然知らんかった(・o・;)
世界の古物市場と珍商売を尋ねて / 外山与治郎. 駸々堂書店、1932、458, 3p、20cm

そこで、外山与治郎について調べてみた
読みはトヤマ, ヨジロウでよいだろう。遡及データなのでただの常識読みだが。
https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00401256
ググると手がかりが得られる。
https://kbumpo-database.jimdofree.com/%E5%88%8A%E8%A1%8C%E4%B8%80%E8%A6%A7/57-%E5%87%BA%E7%89%88%E7%A4%BE%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E4%BA%8B%E5%85%B8-%E6%98%AD%E5%92%8C%E6%88%A6%E5%89%8D%E6%9C%9F/
そして手元にある『出版社調査事典』を見ると大阪で「外山書店」を経営していた人で昭和8年ごろ49歳だったと出る。
明治18(1885)年生まれらしい。
秘蔵の「全国古書籍商組合連合会組合員名簿昭和18年7月末日現在」を参照すると、南区日本橋三丁目三十五に「トヤマ書店 外山与治郎」とある。昭和45年の名簿にはないから、廃業したのかしら。