書物蔵

古本オモシロガリズム

買うべきか買わざるか?! それが問題だーーって問題になったのは大正昭和から???

例の「正統的な読書」に所有・占有問題がある。今の日本インテリの正統的読書観によれば、本は自分で買って所有すべきもの。しかし、この意見が主流になったのは果たしていつからなのだろううか? 岡村「江戸の蔵書家たち」を見るに、本を買えた人は多くなく、また、筆写してコピーを

一体日本人ぐらゐ読書しないものは無からう。事々しく理窟を云はないでも一軒々々家底を尋ねて見ると解る、西洋人の家へ行つて見ると、中東生活以上の家庭には必ず書斎がある。学者で無くとも相当な書籍を持つてゐる。処が日本人の家に書斎のあるのは中等社会の百軒に一軒とは決して無からう。

魯庵はこういって日本人は「不読書国民である」として「日本人全体が読書の害を受ける程に読書を好んでをらんのだ」という。
内田魯庵「多読する乎多作する乎」『文章世界』8巻1号(大正2年1月)