書物蔵

古本オモシロガリズム

文学同志会

 明治年代も中期では、ついこの間と思っても、もう三四十年も隔てゝ了った。今度茲に紹介した二店は、明治中期に最も活動した出版所である。
文学同志会といふのは、たしか編輯物などに多く名の見えた大月隆の関係ある出版所で、神田区錦町一丁目に在ったものである。青年向きの文学書や辞書類を盛んに出版し、「文章世界」なる雑誌も博聞館よりは六七年早く明治三十三年に刊行して、当時の文学青年を指導してゐた。この書店は今に続いて居る。
 青木嵩山堂は…