書物蔵

古本オモシロガリズム

図録『帯封』につき続報

図録『帯封』について調べやうとしたら、すでに郵趣人が記事をあげていた。

逢えなかった老切手収集家を偲ぶ〜『帯封』(方寸会 1989年)
http://blogs.yahoo.co.jp/take_take_taku/31422632.html

これによれば…

関口泰徳氏、帯封(新聞・雑誌などを送る低料金の郵便、基本的には第3種便)の有名な収集家の所蔵品を主体にしたコレクション集です。

つぎのものに人物紹介があるといふ。

郵趣』1986年8月号で取材記事

そんで、

関東大震災による疎開先で収集にめざめられ、色々集めた末に帯封収集にたどりついたとのこと。〜氏は取材時で71歳、「シルバー族」として紹介されていて、

ということは、1911年生まれ?

平成の初めごろ亡くなったとのこと(椙山*1氏のご教示)。

いまネットでググると「郵趣活動賞」なるものを1989年に受賞しとるからその時は存命だったといふことか。

第9回(1989年度)
(個人の部) 江嵜次郎,関口泰徳,大川利秀,豊田陽則
http://yushu.or.jp/info/honor/yushu_act.html

去年たたき売られてたとはΣ(゚◇゚;)

さらにググると、なんとΣ(゚◇゚;) この出版研究史上、珍も珍なる図録が、昨年、たったの500円でたたき売られてたといふぢゃないすかヾ( ゜д゜)ノ゛ハァァァァァ・・・・・・・!

タタキ売り - 四代目  郵趣手帖の収集日誌
http://stamp2000.blog.so-net.ne.jp/archive/20130720

いや、もうびっくりである。

知識・情報とディシプリン(分科学・知識分野)

この事例に徴するに、知識の流通って、オモシロいよねぇ。とくに個々の知識と、ジャンルとの関係が。
帯封なるものの存在を意識化し、研究対象(=文献の記述対象)にしたのは、郵趣(郵便業務そのものでなく、それを趣味として対象化し楽しむ知識ジャンル)ぢゃった。それは昭和も末年のこと。
だが郵趣では、帯封てふもんは、むしろ脇筋といはんか、(その中では相対的に)人気のないアイテムといへやう。それゆゑ、昨年、逓信総合博物館の廃館時には、とんでもめづらかなる図録「帯封」も、たった500円でたたき売られたのぢゃった(-∀-;)
しかるに、わちきのごとき日本近代書誌学徒ちゅーか、日本近代出版史マニヤにとって、図録「帯封」は、わちきの調べとる業界誌史に至るトンデモめづらかびっくらちょな資料であり先行研究なわけである(。・_・。)ノ
それが1989年にすでに出版されていたとはとは(@_@;)
さきつるエントリで、「面白い本を安く」の古書現世で2500円が、おそらく「面白い本を相応に」――まぁ、ご主人自身のことばでは、「めちゃくちゃ大サービス」といふことなのぢゃが…(σ^〜^)――でひねればおそらく5000円! ところがぎっちょん、郵趣界では500円でたたき売り(*´д`)ノ おそらく余部は溶解されちまったことだらう。
知識といふものは、特定のディシプリンのなかでしか認識・開発されないが、実は、その出生地で価値が最大になるとはかぎらん、ちゅーことぢゃ(゚-゚*)(。。*)ウンウン

*1:本の旧蔵者