書物蔵

古本オモシロガリズム

珍書屋の限定出版部数について

これはいとも珍なる論文Σ(゜∀゜;) 
いやぁ、「酒井潔」をキーワードにググったら、なんとも奇なる学術論文に出会ってしまった(^-^;)
ってか、この3部作なんだけれど。

  • 金沢 篤「「カーマ・スートラ」は如何に受容されたか?--『印度愛経文献考』周覧(1)」『駒沢大学仏教学部論集』(36), 450-384, 2005-10-00 Z9-366
  • 金沢 篤「『印度愛経文献考』周覧(2)異訳・異本・異版の問題を中心に」『駒沢大学仏教学部研究紀要』(64), 186-135, 2006-03-00
  • 金沢 篤「ラメレス訳『カーマ・スートラ』の変遷--『印度愛経文献考』周覧(3)」『駒沢大学仏教学部論集』 (37), 608-510, 2006-10-00

サイニーからはとべないが、つぎのサイトから検索すれば、わかりづらいけど、本文がPDFでゲットでけるよ。
http://wwwelib.komazawa-u.ac.jp/cgi-bin/retrieve/sr_makehtml.cgi?U_CHARSET=utf-8&CGILANG=japanese&HTMLFILE=sr_sform.html
これ、タイトルを付けるとすれば、

近代日本における「カーマ・スートラ」の翻訳史、出版史

とでもいえようものなんだが、本文は研究ノートっぽく、「カーマ・スートラ」自体に興味のないわちきにはさっぱりワヤヤなんだけど(だからあまり一般愛書家には勧めない)、余談的に挟まっている話や注がオモシロ。

眺めているだけで時の経つのを忘れる『別冊太陽発禁本』三部作(p.172)

などという表現とか(σ^〜^)
わちき的には、限定版の出版部数についてボヤいているところがいちばんオモシロであった。

〔注の〕(21) 〜大隅[1915a]の「限定二百部」に関しては、もうあちこちでお目にかかるが、果たして本当だろうか。その間の出版事情を見事に語っているのが、耽好同人[1933]である。例えば小野[1987]には、「限定部数はウソつき」と題して興味深いことが書かれているが(37頁)が、この記事のネタ元耽好同人の「珍書屋のトリック」中の記述である(15―16頁)である。(p.144

とかとか。
末尾に詳細な文献表がついとるので、かように、珍書出版史の文献リストとして使うとよいかもしれぬ。
酒井潔については例の有名な南方熊楠のインタビュー成功とその後のケンカとかぐらいで、新発見があるわけでない。この論文はあくまでカーマスートラ翻訳出版史なので。