書物蔵

古本オモシロガリズム

「書評」といふ語の初出?

ネットにこんな情報があった。

〈書評〉という言葉は大正時代までは使われておらず,それまでは〈新刊書批評〉あるいは〈書籍批評〉とか〈ブック・レビュー〉などの言葉が用いられており,〈演劇批評〉が〈劇評〉となったように〈書評〉という言葉が生まれたものと思われる。この〈書評〉という言葉が用いられたのは,1929年1月号の《史学雑誌》であるが,〈書評〉という言葉が一般的に定着するのは,昭和10年代に入ってからのことである。

へぇ、昭和4年1月に、「史学雑誌」がつかってをるんかぁ「書評」てふコトバは( ・ o ・ ;)
てか、いま調べると、「國學院雜誌」もつこうてをるね(σ・∀・)σ
34(12)=(412)1928.12までは「新著一種」てふ欄だったのが、1929年1月号から「書評」という欄になっている。
だんだん広まって、「満鉄大連図書館報」にも載るようになった。

  • 書香. (11) (1930-02)

これに「書評輯覽:(新刊批評)」なる欄がでたのぢゃ。 ​

森やうすけ氏よりのメール

すっかり忘れてたことを思い出させてくれたのぢゃc(≧∇≦*)ゝアチャー

「書評」といふ語の初出?
 http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20130524/p1

 「ネットにこんな情報があった」とは、なぜか典據を記してないけど、コトバンクで出て來る『世界大百科事典 第2版』の「書評」の項ですな。
 http://kotobank.jp/word/%E6%9B%B8%E8%A9%95
 コトバンクでは項目の全文が見られないけど、EPWING版『世界大百科事典第二版』(1998)で見ると、執筆擔當は植田康夫です。
 植田康夫が「書評」の語史について調べてゐたことは、以前に『書物蔵』二〇〇七年七月四日附へのコメントで申しましたし、二〇一一年一月廿五日附貴兄宛メイルでも言及しました。
 http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20070724/p1
 改めて文獻を示すと、下記です。
植田康夫「《書評》という言葉の由来考」『ベストセラー考現学』メディアパル、一九九二年七月、pp.262-281.

 初出は『週刊読書人』一九八三年六月二十日〜七月十一日號。
 以前にお見せしませんでしたっけ。
 遡って昭和初年まで至った經緯を綴った中間報告みたいなもので、『史学雜誌』にまで辿り着いたのもその時のことです。その成果を百科事典の記述に反映させたわけ。
 下記で言及があるのもこれのことです。
豊崎由美×大澤聡「対談 ガラパゴス的ニッポンの書評――その来歴と行方」豊崎由美『ニッポンの書評』〈光文社新書〉二〇一一年四月

 その「「書評」という呼び名の起源」といふ見出しの節にて大澤さん曰く、「出版論の植田康夫さんが、一九二九(昭和四)年まではさかのぼることができたぞって典拠を示してらっしゃるんです。僕はもうちょっとさかのぼれると見ています。」(p.186下段)

 いまはてなIDでないとコメントできない状態ですので、以上、メイルにてお傳へしました。

この後、電話をし

わちき:どうして書評なる語が昭和4年に一挙にでてきたんすかねぇ(。´・ω・)? 史学雑誌と国学院雑誌で人的つながりがあったのか知らん?
森さん:そりゃ、偶然ということもある。
わちき:しかし、この言葉についての証言が出てこないとゆーのも不思議(~_~)
森さん:略語だからでせう(σ・∀・)σ 略語だからいとうてあへてその語について言及されない。
わちき:略語といへば、文芸市場の略語、「文市」ってどのやうに読むんでせう(。・_・。)ノ
森さん:読むものではないのです
わちき:ホヘホヘ―(~o~) 日本人は読めないものを書くのですか?
森さん:でも、オオサカマイニチの略語「大毎」は「ダイマイ」だと思ふよ。