書物蔵

古本オモシロガリズム

総会屋についての主題書誌がある

このまへgooglebookを検索していたら、次の書誌に総会屋関係文献が採録されていることがわかった。

びっくりとはいへ、考へてみれバ、なーるほど。
しかしこれ、本タイトルで「戦後編」と謳っておいて、各巻タイトルで「目録(明治・大正・昭和)」だなんてあきれる(・∀・`;)
おなじセットにこんなものもある。

  • 日本証券史資料. 戦後編 別巻2 (証券年表(明治・大正・昭和))

しかしこの文献をNDLOPACで検索して気づいたことがある。

国会さんのビジネス支援室のここがダメ。

って、歴史的な事象にまったくマジメに向き合おうとしとらんところがダメ。国会サンには参考図書室がいくつかあって、それはジャンルをひろくカバーする部屋と、憲政私文書とかAVとかmapといったたまたま集まった特殊コレクションの保管部屋の2種類があるんだけど、そのうちのジャンル部屋の開架リストってじつはある程度の規範性(ちゅーかモデルね)があって、なればこそ、あんな永田町村で開業してる意味もでてくるんだけど、その開架本にこの文献がないようなのである。
これでは、「総会屋を調べたいなぁ」とて、ビジネス支援室にとびこんでも、なーんも手がかりがない、せいぜい、日本国中どこででも、地球の裏側でさへひけるOPACを引く、なんて、マヌケなことぐらいしかでけんではないの。それぢゃあ、「専門室」の意味がない。
OPACや電子ナントカが発達すればするほど、それらでできないナニカができる「場所」でなけりゃあ、廃止なのにね(県立川崎のやうに特にビジネス・科学技術系)。
で、おそらくこーいったものは代替物がない。ってか、(ありとあらゆる)ギョーカイが元気がよかった1980年代までにこーいったものはひととほり出ていて、その後、日本はみなさまご存知のとほり停滞してしまったので、出ないのがフツー。とくに、趣味人がつかないジャンルの回顧的文献は、そのジャンルが元気(金まはりともいふ)がいい時期でないと、かういったもの絶対に出ない。1980年代までのツールで現在でも有効なものをきちんと把握しているか否かで、そこのスタフがバカか否かが決定されてしまふ。

2010年代日本における書誌の有効性メルクマール

メルクマールって、マルクシストでもないのにわちきも古いねぇ(σ^〜^)
ちなみに2012年の情報環境である書誌が有効か否かの基準は次のやうなところかすら(σ・∀・)σ

a. 目次・論題レベル以下の書誌情報が検索できるか
b. 解題、とくに学説史、業界史的位置づけがわかるものが各文献についているか
c. 単行レベルでもNDCやNDLSHとは異なる体系で主題検索できるか
d. 単行レベルでも総目*1採録されていないものが検索できる。

b.についちゃあ、谷沢永一先生がおほむかしから言っていることである。
今回発見した『証券関係文献目録(明治・大正・昭和)』についていへば、おそらくcとおもはれるし、専門書誌ゆゑ、aやbも期待できる。一時期さかんに売れてゐた『○×の本全情報』(日外)などは、OPAC・総目の充実により、cやdの点で有効性が低下してるんだわさ。もちろん目次情報、紹介文などbモドキをつけて価値をたかめやうとはしてゐるが、文献群のなかでの位置づけまでわかるやうな解題など、付けられるわけもなく……。もちろん「全情報」ものでも、cの点で有効性を発揮してるものもあるンだけどね(^-^;) たとへば国会の連中がサボってる時代区分まで展開してるものとか、主題でなく形式をメインにした「写真集全情報」とかね。

*1:Union catalogのこと。総合目録と日本図書館界では訳されてしまったが、古書業界でいう連合目録のほうが訳語としては正しいといふのがわちきの持論ぢゃ(o^∇^o)ノ