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古本オモシロガリズム

「読者の代行業」には司書もいるかも

フリーライターになるには本を読んだ。

書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)

書いて稼ぐ技術 (平凡社新書)

かならずある文献調査法

いさサ、まともな論文作法やライター指南のたぐひには、ほぼ必ず文献調査のハナシが載っていて、それが、いろんな意味で参考になるのだ。
ましてや、永江さんってば、先々代千代田図書館長やら、TRC広報誌あうるにも調査術について連載さへ持っている御仁。参考にならんはずもない。
目次を一部紹介すると…

調査術
 検索エンジンでは下位にあるものに注意する
 OPACを使うコツ
 図書館、書店、古書店、を使い分ける

新書の一部なので、ざっくりと基本的なことだけを載せている。「検索エンジンでは下位にあるものに注意する」というのは、他人が注目してないことを記事にしていくというライターさん向けとして、全くの正解である。
それと、意外にもこんなことが…

いろんな図書館のOPACを使ってみて、うまくできているなと感心するのは、国立国会図書舘のOPACNDL-OPACです。書誌情報がとても細かくかつ正確に載っています。〜

永江氏は書誌の分析深度や納本法による網羅性を嘉しておられるが、わちきにいわせれば、むしろ主題アクセス機能なんかに優位性があるわけで。

OPACの主題アクセスのハナシ(ちょっと脱線)

もちろん専門的には、米国図書館情報学の最低限の成果を、ちょっと日本的に寸詰まりにした形で(分類・件名の細目が不足。典拠ファイルが外部から見られないなどなど)やっとるだけなんだけれど。でもまあ、機能としては、たしかに国内のほかのOPACでは主題アクセスはぜんぜんできんと言ってよいからの。

分類・件名がテケトーにしかついておらず、びみょーに検索システムもへんなNDL-OPACを、その日本的寸詰まりをうまくかいくぐって主題検索する方法

なんてご指南しちゃおうかすら(  ̄▽ ̄)
てか、フツーに図書館情報学専攻をでた四大卒なら、だれでもでけるようになるはず(司書課程だけだと、ちょとムリかしら)。分類・件名なんて、書誌DB上ではリファーのためにしか存在せんのに、レファレンサーたちが、じつはぜんぜん分類法も件名も知らんと知ったときは、びっくりしたが(・∀・`;) ただこれは、日本の参照業務が専門書誌づくりの伝統にあるからしょうがないのかも知らんケドね。永江さんの連載がある『あうる』に大串先生なんかも文献調査法を連載しとるけど、都立のOPACも主題アクセスはイマイチだったから大串先生の連載には出ないと思う(。・_・。)ノ

読者の代行業は

「ライターは読者の代行業である」とぞ。「好奇心代行業」であるとも。
その伝でいへば、

レファレンス・ライブラリアンは読者の代行業である

ともいへるのではありますまいか。
もちろん、ライターは、事実・現実の世界に直接取材し、危険を冒す(3K、つまり危険・きたない・きつい、でないと新規参入はむずいとぞ)わけだけれども、レファレンス・ライブラリアンの場合には、文献世界という、ある意味、安全な(ほんとは、エロやグロがころがってをるのだけど)世界で完結するのだわさ。