書物蔵

古本オモシロガリズム

メモ(〃^-^)φ (改題)日本のパスファインダーがイマイチなのには理由がある

人物調査

テレビをつけっぱなしにしてうつらうつらしていたら、森さんから架電。リサーチ・ナビについてご下問なり。データにいいものあるも、なぜ使えないかについて議論。端的に開発コンセプトが悪かったとご奉答。あそこは日本図書館にしちゃあ珍しくレファ担当がたくさんいるのに、なぜ開発に失敗するのかなぁという疑問が。って、開発者がニーズ把握に失敗しとるんだろう。
話のなかで、精神科医の人名事典として使える本に次のようなものがあるとご教授さる。

佐々井, 秀緒 (1905-)‖ササイ,ヒデオが、じつは詩人、生田, 春月 (1892-1930)‖イクタ,シュンゲツの研究者であったことも聞く。ところでこの本、

  • 科学的綴り方教育の設営 / 佐々井秀緒. -- 厚生閣, 昭14

には、「代謄写」について、文集は奥付にあたる部分に非売品か代謄写と記載しろということが書いてあり、やはりと思う。って、法定納本のことは終始一貫して言及されていないので、要するに、自費出版的な出版物では法定納本とは無関係なものとして、「代謄写」と記載されていたという、わりと積極的な証拠として使えるはじめての文献なのであった。
このほかにも、人物調査は、ジャンル限定で終始してしまってはもったいないことなど。
ってか、文献上の人物調査法についての論説が、ほとんどないんだよなぁ。

  • 情報便利屋の日記:「ダレ」って誰? / 村橋 勝子. -- (情報管理. 39(5) [1996.08])

見つかったのはこれくらい。村橋さんはたしか、社史についての本を出して受けていたね。ダレってのはシャハトに対立したナチスの農相。村橋さんは結局、関連主題の単行本のある章がまるまるダレについて書いてあるのを見つけたという事例。
だれか人物文献調査法につきておしへよやよや〜
ってか、いまぐぐったら、こんなんあるけど、
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-101121.php
基本的発想法についてほとんど書いてないね。なんだかただの主題書誌だ。ただの主題書誌をpathfinderというのは、これは米国図書館情報学の日本的誤解といえませう。ってか、鹿島, みづき‖カシマ,ミズキ氏の本を見ればすぐわかるように、

パスファインダーとは

1)件名についての説明がある。
2)ただの主題書誌ではない。
3)1エントリがA4で1枚程度で短い。
というのがlibrary pathfinderなのに、おもいっきりそうでないものばかりが国内でパスファインダーと呼ばれてるんだよねぇ(〃´o`)=3 フゥ

(追記)日本のパスファインダーがamerican library pathfindersでなくなる傾向が出てくるのには理由があった!

ただ、これにはある程度、やむをえざる理由があって、
そもそも件名が普及しとらんので、件名についての説明ができない*1
件名がついていればOPACですぐ、かつ、つねに最新のものも含む主題書誌が生成できるから主題書誌を(分析レベルとか論文レベルとかを含んだり、解題がついたりするものでなければ)わざわざパスファインダーに掲出することは(アメリカでは)不要だが、日本ではそれができないので、ある程度、意味がある。
ある程度意味があるので、枠組みを考えない(考える知識がない)クラーク的図書館員が熱心にやると、長大な主題書誌と化していく。
結果として、とても「参照(リファー)」などできない(読みこまないと理解不可能な)長大な疑似パスファインダーが生産される傾向にある、
ちゅーわけだ┐( ̄ヘ ̄)┌

サーチナビにある使えるデータ

跛行的DBたるリサーチナビには、それなりに使えるデータがあるんだけど、データをひっぱりだしてくるからくりが悪すぎる。
あの函には基本的に参照作業につかえる4つのものが入っていると見るべき。

  • パスファインダー:「調べ方案内」と云うておるらしいが。
  • 目次DB:
  • 解題書誌:「参考図書紹介」「日本人名情報索引(人文分野)データベース」「」「」
  • 特殊な索引:「近現代日本政治関係人物文献目録」

で、残りのものは、じつは結果としてノイズとしての機能を果たして(?)いる。
残り(わちきにはノイズにしか見えないもの)を含めた一覧がここにあるが、
http://rnavi.ndl.go.jp/rnavi/databases.php
これじゃあ「理解」できないよ。

*1:国会さんで一部のパスファインダーに、件名のない戦前図書などで書誌分類を使わせようとしている記述がみられるが、なんとも苦しい。。。