10年ほどまえから館界でも流行った著作権法についての議論は、議論というものではなく現行法の適用細則にすぎんので詰まらんかったのだが、やうやく著作権法論の本体のほうで有意義なものが出てきたやうである。
- 作者: 山田奨治
- 出版社/メーカー: 人文書院
- 発売日: 2011/09/15
- メディア: 単行本
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ツイッターで知ったのぢゃ
さっそく買ってきて、読書中。。。(σ^〜^)
いや、もう、ゲラゲラ笑う
原画を描いた本人が「バッタもの」を作り出すシステム
なんちゅー言い回しなんザ、なかなかに秀逸(≧∇≦)ノ
ここ十数年の著作権法改正になんか変な感じを持っていたけど、やっぱし変だということが論理化されていてとてもよい。オモシロくってためになるとはこの本のこと。
追記(2011.9.25)
著者さんのブログもあるから追記してみる。
http://yamadashoji.blog84.fc2.com/blog-entry-482.html
この本の要諦は、日本著作権法の議論を法学(短期的な正義)から論じていないところ。これがいい。価格設定も安いし、一読をすすめたい。
じつはこの本、そんなにビックリするようなことが書いてあるんではなくて、ある意味あたりまえのことが書いてある。
審議会の委員が権利者や業界関係者で占められ消費者・利用者サイドが極めて少なかったこと、業界関係者も長期化・頑迷化していること。中立系学者、文化庁官僚も結局それらにひきづられていったこと。著作権法は基本は民法関係であるのに刑法的罰則が他の罪科に比べミョーに厳罰化していったこと。そしてなにより、著作権法的には手段でしかない「権利の保護」の美名の下に法の目的「文化の発展」を危うくする暴走をマスコミなどもチェックできなかったことなどなど。
こころに残ったことば。
著作権を守れと声高なひとはたくさんいるが、法律をどうすればいいのか、みなで考えようというひとは、著作権の専門家と称するひとには少ない。(p.201)
しかし著作権法違反の非親告罪化がとおらんでよかったよ。わちきの見るところ、日々のエントリをアラ捜しをすればブロガーの半数以上が形式的には現行日本著作権法の形式的違反を問う事ができようというもの。非親告罪になったら、本書の指摘せるごとく、別件逮捕や別の理由で逮捕者が頻出することになるだろう。