書物蔵

古本オモシロガリズム

学の燈

『学鐙』106(1)の「特集アカデミズムの現状」を読んだ。全体として悲痛な感じ。ほぼ全部、財政問題船曳建夫が、国立大学の財産(不動産中心なら東大で7兆円)をもとに、財政的に国家から独立するがよいというのがオモシロ。土屋俊が電子ジャーナルの出現で理系では研究業務モデル自体が変わり、図書館不要論を述べているのが辛らつでよい。馬越恵美子の紹介する「三つの不思議」が非常によい。

三つの不思議
1) 教育の質の向上が教員の仕事量の増加にすりかわっている
2) 社会人としての能力を備える指導より過保護の指導が行なわれていること
3) いかに良い授業をしても、どのような学問的業績を上げようとも、処遇が変わらないこと

1と2は要するに、質を管理しようとして量しか管理できず、質の向上が見込めないということだね。これは想像力や経験のない管理職層が増えた事業体にありがちなこと。むやみに数値的な報告(書)を求めるわりに実態はぜんぜんよくならんということです。せっかくの「改革」「改善」が官僚制の負のスパイラルに落ち込むと、マジメで「優秀」な人であればあるほど、負のスパイラルを加速させる。

幹部候補生なら、「はいはいやりますよ〜」と上司には言って、適度にサボるぐらいのことができないとこまります!

と、幹候の師匠スジに文句を言いたくなろうというもの。いや、実際言ったのだが…
まえに、廊下に落ちてたブ厚い報告書なるものを見たが、最初のパラグラフでその分析、つまり報告書全体が無意味であるということがわかりあきれたことがある。