書物蔵

古本オモシロガリズム

司書と自己研鑽

司書と「専門職(profession)」の理念系

理念型か。ただの「専門家(professional)」でなく、医師、教師、牧師など「プロフェッション」に司書をなぞらえることがかつて流行した。まあプロフェッション類似(para-profession)みたいではあろうけど、professionには足りんし、それをめざした運動も破たんしたということは、図書館業界よりも図書館行政担当者に浸透した『図書館の論点整理』の司書の章に書いてあったことだった。

まあパラプロっちゅーことで

で、JLAのプロフェッション運動が破たんしたのは大いに認めちゃうんだけど、一方で「論点整理」でも認めていたように「専門職種」ではあるんだから、まあ、パラプロぐらいの位置づけでやったほうが、専門職種としては良いだろうと思われ。
だから、司書業に関連して拘束時間外で自己研鑽することは、悪いことというより良いことなのだろう。
国民、住民も、せっかく司書としてやとっておるのだから、前任者の同じことはやりますが、それ以外は寸分足りともいたしません! とか大いばりでいう司書よりも、いろいろ難しいことや意外なことも知っていて柔軟に対応してくれる司書のほうが喜んでくれるように思うが。
もちろん、拘束時間外に野球を見に行ったり(野球図書館学があればそれも自己研鑽だが)恋人といちゃいちゃしたり(恋愛図書館学?がもしあれば―以下おなじ)するのはご勝手なわけだけど。

聞いた話

ある館員さんにこんな話を聞いた。
趣味で退勤後、特別コレクションを閲覧しに訪れた図書館で、対応してくれた担当とたまたま意気投合し、目当ての本を閲覧できただけでなく、書庫内見学など便宜を図ってくれ大いに勉強になったということがあったのだそーな。
そもそも、その特別コレクションの関連コレクション*1が、その館員さんの所属部署が持っていたのだとか。
それで館員さん、ちやうど業績評価とやらで「目標以外の業務の達成状況」とかなんとかゆー項目があったもんだから、たまたま行った場所で業務に関連する新知識を得たと書いたそうな。
そしたら上司に呼び出されて

こまるなーぁキミ(´・ω・)ノ これって上司の命令でやったもんぢゃないでしょ(σ・〜・)

その人はこの上司の言葉に純粋にびっくりしたらしい。どうもその人も司書というものは自己研鑽した結果を業務に反映させてもよい、あるいは反映させるべきと思うてをったらしく、そんなことを書いちゃったらしーのだ(・∀・)

まじめなアドバイス

わちきはその人に言ったことですよ(*´д`)ノ

あんたねぇ(#+_+) そりゃ相手をみてやんなきゃダメだよ(σ^〜^)
司書をただの事務員やコーム員と思っていて、なおかつキチンと管理することが正しいと思っている管理職なら、カウンターやPCにへばりついてること以外のことを、報告すればするほど、勝手なことをする悪い部下ぐらいにしか思わんよ。
それを、あらかじめ全てを予想し指令ができる全知全能者さまに、想定外の成果を報告したり、ましてや書いたりしちゃー、あいてはヤがるよ。だって、その全知全能者の全智全能性が毀損されることになるんだから(σ・∀・)σ その成果がよいものであればあるほど余計に毀損されるんだから(σ^〜^)σ

この話を友人にしたら、

むかしのいーかげんな上司は、部下に自由にやらせといて、結果としてうまくいっていたものでしたがねぇ(´∀` )

と言っていた。
もちろんこの「むかしのいーかげん→うまくいっていた」にはウラがあって(。・_・。)ノ
つねに仲良く仕事をしていてコミュニケーションがとれているという前提があったのだろうね( ^ - ^ ) しかし、それがない(あるいはなくなった)からといって1年に1、2度の報告書のやりとりで代替できると思うのがアホなのだろうなぁ(*゜-゜)

大部屋主義と日本的経営

係の事務分掌より細かい事務分担が文章化されず、各人の机がパーテーションで区切られず、管理職がヒラと同じ部屋にいるという「大部屋主義」の良さを活かすのなら、普段の雑談を絶やさぬようにし、くだらないお茶会をなにかといっちゃあぶちかまし、報告書はそれら日常では話づらい改まったことがらを取り扱うのがよいのだろうなぁ、って、これって今までの日本のフツーの会社ぢゃん(σ・∀・)σ
組織機構や物理的建築が大部屋でしかないのに、バカみたいな個人の業績主義をもちこんでしまったのだねぇその館は(-∀-;)
しかし業績主義は日本では結果としてひとつの成功例も持たなかったのではなかったか

追記:書誌的なことがら(20120916)

関連文献ね(o^ー')b

虚妄の成果主義 日本型年功制復活のススメ (ちくま文庫)

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昨夜は友人Cを待ち伏せして http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20070721/p1
高橋伸夫から図書館経営を想う http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20050506/p1

*1:本来ならそのコレクションと見学したコレクション――の一部、たとえばみまさかなんとかとか――は統合されて同じ資料館になる構想があったとぞ。