書物蔵

古本オモシロガリズム

こんなとこに関根康喜が

それはそうと、文協事件(1942)の一連の出来事のなかに、関根康喜がでてくる。文協事件ってのは、情報官、鈴木庫三が朝日への紙の特配を糾弾したことに端を発する事件で、文協の第二回総会(1942.6.13共立講堂)が大荒れにあれ、結果、職員の過半が懲戒免職になるというもの。
これは、必ずしも当局による言論弾圧とはいえなくて、背後に陸海軍の確執や出版業界内のごたごたがあったよう。
で、事件本体の先触れをなす「第一怪文書事件」(p.67-)の怪文書「文化統制面に於ける欠陥の排除について」(昭和16年12月6日)に、国策研究会石川鉄男」と署名してあったそうな。
この人物は実在していたので、「情報局は其の背後の黒幕を衝くべく憲兵隊へ調査を依頼した。其の結果、関根康喜氏が登場した。情報局は更に関根氏の背後の黒幕を衝くべく関根氏と懇談したが、不得要領に終つた。」(p.68)とある。
憲兵隊やら情報局が気を使って「懇談」せねばならないってのもすごいなぁ。

かきかけ

関根康喜 筆名:荒川畔村
文教出版 火星社 農業書院 星光書院