書物蔵

古本オモシロガリズム

小説の主人公になった図書館員 渋谷国忠

で、わちきも渋谷, 国忠 (1906-1969) ‖シブヤ,クニタダについてはちょっと調べたんだけど、萩原朔太郎のマニアックな研究がめだつぐらいで、図書館言説はむしろあまりめだたない(そのなかでも戦中の、読書会の自由論争はめだつが)。
ところが石井トン先生の調べによれば、理論的には「日本の図書館員の中でも十指に入る優れた図書館員だったのでは」という(×o×)
トン先生が使ってる資料は、県の図書館協会の月報。なるへそ。どうりでわちきのアンテナにひっかからんわけだ。てか、いま日本図書館史研究は地方の協会や館の月報をひっくりかえせばオリジナルの研究ができてしまうという超お得な状況。
でもオモシロいのは、渋谷さん(あだ名はコクチュウさんだそうな)の前半生についての史料を、小説に求めているところなのだ。
耕治人全集』第7巻*1にある「小さな願い」というのがそれ。
ほへー(・o・;)
もし仮に、まんまん、万が一、現在ただいま小説の主人公になってる図書館員がいたら、その小説をもとに、何十年後かの図書館史学者が、その人の評伝を書くかも(゚∀゚ )アヒャ

追記

トン先生の書きぶりをそのまま受け取ると、やはりちと違う印象をうけるから、かならず耕治人「小さな願い」は読んだほうがよい。
図書館実務 / 澁谷國忠[著]. -- 春陽堂書店, 1954. -- (図書館講座 ; 整理編 ; 1)
2冊しか単行本を残さなかったうち、図書館本のほうの1冊が上記(画像も)。
読んでみると、図書に関する物品会計の手続きを林の著書に拠りながら概説したパンフレットにすぎない。だから確かに、これだけでは図書館学史的に注目はされなかっただろう。協会報をひっぱりだしてきたのはさすがトン先生(゚∀゚ )/

*1:トン先生講演録には確かに7巻とあるが4巻のまちがい。