書物蔵

古本オモシロガリズム

調査及び立法考査局を造った人の話(読書メモ)

去年かって積んどいた本(http://d.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20050916/p3)を読んでみた
調査屋流転 / 枝吉勇. -- 〔枝吉勇〕, 1981.2
この、枝吉, 勇 (1904-1985) ‖エダヨシ,イサムさんってのは、満鉄の調査マン。
東大で左傾したんだけど、あとで転向して満鉄に入った。
本の内容は自伝なんだけど。
業務とか人間関係とかが具体的でヒジョーにオモシロい。
セツルメントのこと
新人会のこと
大川周明に拾われて「調査マン」になったこと
東亜経済調査局、満鉄調査部、東亜研究所
それから第二次満鉄調査部事件でとっつかまって(1943)
戦後は国会図書舘の調査及び立法考査局をイチからつくった話
さらには春秋会事件と金森徳次郎の死
などなど
わちき的には、調査資料の整理の話とか国会関係者の人物評とかに興味。
春秋会事件に第2次があったとは意外。ってかこれで国会会議録のヘンテコな記述がわかったよ。このまえ読んだ奥泉先生の本で廿日出さんが悪者扱いされとんのも、ここらへんが原因だねぇ。
レファレンサーという語の用例も発見。これは仮性図書館本ですなぁ。
これによれば、国会の調立は(ノウハウ含め)まんま満鉄調査部ということになるオモシロ

追記(2007.2.26):第二次春秋会事件はありやなしや

友人は「第二次というほどではないですよ」と
たしかにそうではある。が。
やはり1.5次ぐらいではあろう。
すくなくともそう理解したほうが、あの、へんてこりんな国会会議録(の、正確には委員会会議録、じゃなかった委員会議録か? んー、もうどっちでもいいよ)はわかりづらいなり。
わからんもんはわからんままでよい、あるいはわからん連中にまでわからせることはないというのが学術の住人たる友人であり、わちきは、バカにつける薬を処方したくなるマージナルマンなのであろう。