書物蔵

古本オモシロガリズム

(読書メモ)翻訳はもっと「やわらげ」てほしい

十数年以上前にかって積んどいた本を読んでみる
レファレンス・サービスの発達 / サミュエル・ローススティーン[他]. -- 日本図書館協会, 1979.6
翻訳が。。。 直訳調で読みづらいことおびただしい。(゚〜゚ )
いつも思うんだけど、海外学術書の翻訳って、学術的な微細な正確さよりも、日本語として流通しやすいかどうかが問題。正確さを求めるような学者なら原書を読めばいいわけだから。
たとえば、むかし興味があった東ローマ帝国史についちゃぁ、帝国初期、中期、末期をつうじて、政治史、文化史などジャンル横断して、オストロゴルスキーの著書(初版独語1941)が定番なわけだが、やっと出た翻訳が。(゚〜゚ )ドイツ語がすけてみえる文体なのはちと残念。もそっとやわらげてもよかったのでは。
ビザンツ帝国史 / ゲオルグ・オストロゴルスキー[他]. -- 恒文社, 2001.3
いま、この本のデータをアマゾンでみたら、マケプレで88000円つけてるとこあるね。いくらなんでも、ちと高すぎだが、品切れになればまあ、3〜4万円ぐらいになるだろうとは思ってた。
『ローマ私法概説』とか『フランス法制史』とか(いずれも創文社)、学術研究に必須にもかかわらず品切れになった本がおなじような高値を呼んでたからね。『ローマ私法…』は数年前、ある人にただで貰ったが…
ビザンツ帝国史』2、3冊かっておけばよかったかな。もちろん、同タイトルのちがう本とまちがっちゃいけないけど。
テマ(軍管区)制度の起源論みたいに、戦後の研究で乗り越えられた部分もあるけれど、やっぱり今でもオストロゴルスキーが基本なんじゃないかなぁ。
〜〜〜
あらためてググったら、なんか尚樹啓太郎『ビザンツ帝国史』がWikipediaに混乱を与えておるようですのぅ。(Wikipedia‐ノート:ウィキプロジェクト 東ローマ帝国史の用語表記
どうやら尚樹本が流布してしまったことによるらしい。
日本におけるビザンツ学(Byzantistik)は、増田四郎(一ツ橋)の弟子にあたる渡辺金一がやったのが本流だったんだけど、ローマ史のほうは弓削達が弟子を育てるのが上手くて大繁栄したのに、ビザンツ学のほうは… いまやってる人たちは京大系なのだ。まぁ京大系といっても米田治泰が急逝してしまっておるからのぅ。渡辺金一とタメを張れる人がいなくなってからなんだかおかしく…