書物蔵

古本オモシロガリズム

書評索引

猫猫先生がネットにある書評索引DBについて苦言を呈している。
「ブックレビューガイドb」ってのがそれなんだけど,採録対象を広げるあまり,本来の書評以外のもの(単なる紹介,読書感想文,自著へのコメント)を収録しすぎているとのこと。
書評については,英米ではしっかりしてるが日本はダメで,さらに書評索引については『書評年鑑』が孤軍奮闘してるだけ,と昔,習ったが,その『書評年鑑』も1997年にあえなく沈没。
まあ,そのころからわちき自身は読書人になってたんで,書評索引については興味なかったが。同時代のことは一応わかるからね。
でも,書評索引がなけりゃあ,「後から来た人たち」は困る。
そういう意味じゃあ,「ガイドb」のスタンスはなんとも不明確。6ヶ月しかデータを公開しないのも,新たなビジネスを考えてるのかなんなのか。
ま,とにかく,ネット上の書評索引の解題は,次のhpがよいね。
書評 (Book review) とは(京都大学図書館機構)
書評索引をめぐってきちんと概念整理して書いてあるのが好感。これを担当した図書系職員はアタマいいね(って,もしかして図書系じゃなかったりして…)
とくにいいのは,いま京大に所属している佐藤卓巳氏の著作(『言論統制』)を例に,関連DBや紙資料の比較がされているところ。
著者なら自著の書評をほぼ悉皆的に把握できるからだろう。
著作を出すメンバーがコミュニティ内にいるとこういった点で図書館運営にプラスなんだなぁ。
研究職のいない公共図書館国立図書館はこういった点で致命的なマイナスなのだ。まあ,公共や国立を,ただ小説を読む場ととらえれば,べつにかまわないんだけどね。

書評の効用

で,京大のホムペにこんな記述が。

研究を進める上では「ある図書がその時代にどう受容されたか」を調べる場合に書評が役立つことがあります

ああ,これ書いたひと,学説史をやんないといけない研究をした人なんだなぁ。よく言ってくれた。
単なる人気不人気(つまり定量的受容)なら刷り部数でわかる。猫猫先生が批判してるのも,感想文の多寡はべつにDB化せんでもよいということなのだろう。
じっさい,統制下じゃあ(っていつの時代?)刷り部数が奥付にはっきき印刷されてるから人気の多寡がよくわかる。ネット上の読書感想文の件数はあくまでそういうものの一環なのだろう。
定性的な批評が書評の真髄。
せっかく読むんだから本来の書評を読みたいというわけなのだ。
わちきも学説史オタクなので戦前のある図書館本の受容について調べようと,書評を探したことがありました。
が。
当然,戦前戦後しばらくは書評索引なんかはないので専門誌を悉皆調査するとか苦労しましたがな。結局,4,5件みつかったけど。