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古本オモシロガリズム

図書館省の解体

今朝の産経新聞に次のような記事が載っていた。

国会図書舘、独法化へ 自民行革本部、国会改革の目玉に

 「日本唯一の国立図書館」とうたわれている国会図書舘の本来業務は、国会議員の立法、調査活動の補佐。だが、このほかにも資料の収集、整理や一般への閲覧などの司書業務も行うだけでなく、最近は国会議事堂隣の本館に加え、京都府精華町に「関西館」、東京都台東区に「国際子ども図書館」が相次いで開館した。このほか電子化にも取り組むなど、「副業」の拡大が顕著になっている。

法制的には正しい部分が

うんうん。法制的には国会附属としての機能が本分というのは正しい解釈だと思うよ。よく国立国会図書舘法を「設置法」とする解釈があるけど(『図書館情報学用語辞典』など),それはまちがい。設置法は国会法。国会図書舘法は,組織法であり作用法。それに,その作用法にも国会業務が優先するという趣旨があるし。産経記者は,図書館情報学系のまちがい知識じゃない別系統の情報源があるんだねぇ。

ちと司書業務については雑駁かも

で,産経は「副業」が司書業務といっている。ただここんところは雑駁にすぎるなぁ。
この「副業」は,本来,所有権の神聖を侵す納本制度(行政作用そのもの)から,たんなる精華町立の地元図書館になり下がってしまった関西館までいろいろグラデーションがあると思うんだけどね。
あとなー,「子供図書館」も議員先生がたの横槍で急遽できたようなもんだからなぁ。村上正邦センセも肥田美代子センセももういないからいいのか… 政治というのは有為転変がはげしいのう。剣呑剣呑。

産経に不敬のにおい

ただこの子供図書館,美智子様雅子様がよく行く図書館なんだけど… 美智子様が嘉していた児童サービスは余計な業務で税金のむだづかいなのだろうか? それに,美智子様の相手は国家公務員じゃなくていいのだろうか…? もし,同じサービスできれば誰でもいいのなら宮内庁もどっかのホテルにまるなげできるんじゃないの産経新聞さん。産経は不敬なり〜 (・∀・)

それに記事の本体はぜんぜんちがうし

でも,このヘッドラインはミスリードっぽいねぇ。てゆうか,産経がやたらフレームアップしてるというか。
記事本体をみると,肝心の「党行革本部の国会改革案」はほかにもいろんなことをやりたいというなかで図書館のことがでてくるだけみたい。

国会職員(約4100人)を今後5年間で10%削減する。その上で、警備、運転業務の民間委託▽衆参両院にある法制局の統合▽委員会の審議運営を担う「委員部」と法案調査を担う「調査室」の統合▽各部署で分かれていた会計経理の一本化−などを

警備員や運転手さんが国家公務員っていうのがちょっと意外なんですけれど。
あと,記事には親切なのかなんなのか「独立行政法人」についての簡単な解説があるけれど,司書業務が法人化されたらどの省庁の所管になるんだろ? 順当に考えれば門下省なんだろうけどね。もしかして独立「立法」法人か? これまた新たな利権のにおいが…(^-^*) これもまた政治なのかのう…
おもわせぶりなわちきの記事のタイトル「図書館省の解体」は,昭和20年代の話が補助線になるんだけど,大佐三四五の本の記述からまた展開するね。