書物蔵

古本オモシロガリズム

図書館本のネタ本

知ってる人はみんな見てるのに言及されづらい本,ネタ本っていろんな知識分野(ディシプリン)にあると思うけど。

ネタ本『図書館情報学ハンドブック』

う〜ん,図書館情報学でいえば,丸善の『図書館情報学ハンドブック』の初版と2版かな。どんな単行本を買うよりも,いちばん先にこれを買うべきなのだ。はっきり言うヒトは少ないけどね。
わちきが一昔以上まえ司書道(librarianship)に入門したみぎり,当時は文庫本収集に本代が消えていたんで「図書館本は買うまい」と思って,ある人にこう聞いた。

わちき:ほんとに1冊しか買わないとすれば,どの本がいいですか?
ある人:うーん,『図書館情報学ハンドブック』かなぁ。高いけど,ひととおり全部書いてあるよ。JLA『図書館ハンドブック』は,公共図書館むけになってるから。

ということで,どっかの古本屋で半値ぐらいで買ったんだった。
えー,たしか全部よみました。通読。
おもしろかった。わちきには,とっても。
いまでも再読すると面白い。
紙幅がある程度あるからなんだろうけど,図書館現象のすべてについて,ひととおりの記述がある。JLAのほうは,公共図書館に関係のあることだけが簡潔にかいてあるだけだから。
いちど,コミックマーケットについての記述が(第2版に)あるって書いたよね。ある事象についての研究が実際にはむずかしくても,理論上,図書館情報学の記述or研究対象になりうる事象がひととおり網羅されている。
ただ,第2版はちょっととんがりすぎてて,「この本だけ!あと要らない」っていえないところがつらい(第1版の時代は,たしかにそうだったんだけど)。
実務者になるんだったら,第1版のほう+電子図書館などの最近の話題のなにか,ってな感じのほうがいいかも。

いまでも図書館史のネタ本は,戦時図書館本!

あぁ,あと,図書館史って領域に限ると,竹林熊彦の『近世日本文庫史』(昭17)と,小野則秋の『日本文庫史研究 上下』(昭54,元版上のみ昭19)につきる。