書物蔵

古本オモシロガリズム

浅草文庫はいずこ〜?

(昨日の記事,改定してこっちへ)
和洋会の会場に突入す。さっそくめぼしいトコを見て廻る。うーん,さすが扶桑とかキュウセイとかいい味だしてるねー。本のクロっぽさがなんともヨイ! 自分が買えなくても,古書展にきた気分になるねぇ。シロっぽいと,なんだかなぁと云う気分になる…
ん?
自然閣さんが○○を出品してるなぁ。ちょっと立ち見しよ。
へえー商工○○って,1枚2万円もするのかぁ。まあ,オモシロイ資料だしなぁ。
ほかの○○もペラペラとめくってみるなり。
と…
××文庫と文字が見えた気が…
ほへ?
よくみる…
庫文…草…浅
庫文草浅!
どひー!
これは…
あわてて湯島の聖堂のとこをみると,ナント!
舘書図
これはすごいよ,浅草文庫と図書舘がおなじ1枚の○○に印刷されている…
ご存じないと思うけど,「図書舘」は,ほぼまちがいなく「東京図書館」のこと
と,ここまでブログに書いてきたら,千代田文庫というのも○○にあることに気づく。うー,混乱してきた… むむ,もっと分析せねばならぬワイ。
手許にあるマル秘の資料によれば…

文部省・書籍館(1872.4.28)

博覧会事務局・書籍館(1873.3.19)→(蔵書だけ)→ 浅草文庫(1874.7.30)
↓(制度だけ)                         ↓
文部省・書籍館(1875.2.19)          内務省浅草文庫(1875.3.30)
↓                               ↓
同・東京書籍館(1875.4.8)
    →廃止(1877.2.4)
東京府書籍館(1877.5.4)
↓                               ↓
東京図書館(1880.7.1)
                              廃止(1881.5)
↓                               ↓(蔵書だけ)
↓                      内務省・千代田文庫(1884.5.20)

と,明治5年から明治13年にかけて,図書館がらみの官制がめまぐるしく改廃されていることがわかる。
明治10(1877)年には,文部省系の書籍館は一度絶えてしまうし(西南戦争のためという)
ここいらへんの事情は,竹林熊彦が戦時中に書いてた。戦時図書館本ですな。
近世日本文庫史 / 竹林熊彦. -- 大雅堂, 1943
近世日本文庫史 / 竹林熊彦. -- 日本図書館協会, 1978.7. -- (復刻図書館学古典資料集)
相場は元版が4000〜8000円,復刻が5000円ぐらいかな。
掘り出した1枚は,浅草文庫と千代田文庫が載っていると言う点で不可思議ではあるけれど,逆に,ほぼ明治15年前後の状況をとらえているとわかる。
いやぁ,なかなかにオモシロイですな○○の世界も。

タネ明かし

画像でわかると思うけど,地図ですね,○○に入る言葉は。
「第一師管地方迅速測図 東京近傍第六号 麹町区 3000円
余白に

明治十三年測量同十九年製版同二十三年再版同三十年修正
明治三十年三月二十五日印刷同三月三十日発行

とありますが,明治14年に廃止になった浅草文庫が書かれている一方,その後身にあたる千代田文庫も記載されてる(和田蔵門入った場所)とこをみると,図の全体の情報は「明治13年から20年頃までの状況が反映されている」ということができますねー
地図資料はむづかしいですねぇ。一応,国家が作ったもんでも発行年と記載内容の時代がかなりずれてることがわかります。年鑑の類が,2004年刊行なのに2005年版で,しかして内容は2003年の統計だったりするのに似ているよ…

国立図書館が2つあった時代

なぜこの地図にフィーバーしたか
(長くなったんで8/1に移動)