書物蔵

古本オモシロガリズム

図書館で○愛:ある事例から施設運用の通弊を衝く! (って大袈裟)

予告していた本邦初お目見えの論考をここに発表します。わりと良く書けました(自画自賛)。

<事例>

ある大学のあるキャンパスに,それはそれは大そう立派な図書館がありました。
日本の大学図書館というと,大抵はおざなりなものなのですが,蔵書も施設もそれはもう立派で…
蔵書も施設も立派ならば,それはもう良い図書館というわけです(と図書館関係者をチョー発してみたりもする*1)。
開架室も立派ですが,書庫も立派でキャレルつきでございます。昼寝をする人に席を占領されてしまう開架室ではなく,書庫のキャレルで本をよむのは格別でございますよ。世俗の喧噪をはなれて読書に沈潜する,読書人の至福のでございますね。あっというまに一日たってしまいます。
その書庫なのですが,キャレル等をつかって真摯に読書に励む人々のために,専用のトイレが備え付けられていたのでございます。
すばらしいトイレ
ちょっとした小部屋ほどもありましょうか。大きな姿見に洗面台。完全に個室のトイレ。
ふつう,トイレというのはひと部屋をいくつかのコンパートメントにわけて多人数用として設置されるものですが,一部屋一人用というのはまるでホテルでございます。
お気に入りのトイレでございました。書庫にもぐりこんでいても,安心です。はるかかなたに離れた通常のトイレまで旅をする必要はありません。(今思い出しても,けっこう長旅になると思う。もれちゃうよ)
ところがある日…
ある人が平行移動中に人がひとり出てきたのを見たそうです。そして,ここが世にも不思議なところなのですが,誰も入っていないのに,もうひとりでてきた…
トイレが人を産む…!
これはもう怪奇小説ですね。
その人はまわりに触れて廻り(いい趣味とはいえません),わたしもその片方の方を目撃することになりました(もう顔なぞ憶えてませんが)。
これだけ。事例おわり,
だとツマラナイと思うのでいろいろ考察してみましょう(笑)。

<考察>

まず性別ですが,わたしが見たほうは女性の格好をしていました。まぁ女性でしょう(キャンディ・ミルキー氏かもしれませんが)。
で,もうひとりの方は,話によれば男性。
おそらく両者はあらかじめ共謀のうえ,同時か,ほぼ同時に続いてそこへ入室したのでしょう。で,そこでなにかをしていたのだろうと思われます。

なにをしていたのか?

これを具体的に記述すると文学となってしまうので文才のない私の身にあまります。それは措いておきましょう。で,結論としては,
ホテルのようなトイレがホントにホテルになった(笑)
トイレが人を産んだのではなくて,トイレで人が産まれるようなことをしていたのですな。
これで終わればタダの笑い話(まさしく笑話)なんですが,それよりもここで問題にしたいのは,トイレ政策についてです(笑)。

図書館のトイレ政策

読書人にとっては必須であり慰安?ともなるトイレだったわけですが,読書人以外にも慰安となってしまったわけです(笑)。トイレの目的外使用…
わたしがトイレ政策の立案者・運用者であれば,涙をのんで男女共用にはせずに(じつは共用だったのです),どちらかの性専用にしますね。そうすれば,二人つづけて入ったり出たりするのが極めてむずかしくなる…
あ,べつに事例は異性にかぎらんのじゃないかと論理的に正しいツッコミもすぐ思いつきますが,それは多人数トイレも同様なので,トイレを設置すること自体に付随するリスクということで,そのリスクは保有するしかないんです,はい。
現実のトイレ政策担当は,どうやらリスクを回避してしまったようですね。つまり閉鎖。
これは私のかすかな記憶でもそうなってしまっていた憶えがありますし,某大ちゃんねるとかいう掲示板にも,数年前に「なぜ閉鎖されているのか」という疑問がありましたから。

日本図書館の通弊?

まー日本的ですねぇ。図書館設計者は,よかれと思って読書人慰安用トイレを設計し,おそらく開館時には誉められもしたことでしょう。で,運用で多少のリスクが顕在化すると,現場の責任者は(一足飛びに)たまらず運用停止してしまう。
で,たったいまイナズマのように思いついたんだけど,某図書館の「中央書庫式」というスバラシイ(と当時は自画自賛された)施設もおんなじ末路。中央書庫のマイナス面だけをひきずって半世紀*2。うわー日本国共通だー。
設計の段階からリスクをくりこむ一方,予期せざるリスクが顕在化しても,なるべく設計時の本来の良き意図をいかす方向で工夫できんもんかねぇ。
足らぬ足らぬは工夫が足らぬ
と日本の標語でしめたいと思います。

*1:施設と蔵書を誉めるとなぜ図書館員にたいする挑発になるのかというと,図書館学理上,一番大切なのはスタッフということになっているからです。けど,これを他学問出身者に真顔でいうとゲラゲラ笑われることがおおい(笑)。まー我田引水すぎますからね

*2:私見では業界タブーの監視カメラを置けばプラス面の復活も可能。