書物蔵

古本オモシロガリズム

 東急(渋谷)の古本市で仮性図書館本を立ち読み

古本市最終日。拾えず立ち読みだけでした。
谷沢永一の本(たしか,読書人の蹣跚 / 谷沢永一. -- 潮出版社, 1993.12)のかいせつに面白いことが書いてあった。
大西貢(おおにし・みつぎ)という国文学者が賛?を寄せているんだけど,その中に国会図書舘のことが出てくる。「昭和37年頃,熱心に使ったが今と違って職員は熱心で親切だった(要旨)」とか,師匠の谷沢氏の蔵書を誉めるくだりで「自分は書庫の1層から11層までつぶさに(国文関係の)図書をみたが,それよりすごい(要旨)」とか。
なるほど。いろいろな分析ができる記述だのう。
たとえば…
昔は書庫に研究者?が入れたらしいとか,大西氏にとって今(1990年頃)のそこは不熱心で不親切に映っているとか。片々たる隻句ではあるけど深い分析も可能な記述… 歴史学の常套ね。断片的史料から,当時の制度を復元していく。
ちなみに大西氏が用いていた「層」というのは,積層書架の1フロア分のことをいう。積層書架ってのは,ビルの1階分の高さを高くとって,鉄板の床で2or3層にわける書庫。ヒトのアタマが天井につっかえるけど,とってもたくさん本がしまえるんだわさ。開架があたりまえになった今では流行らないけど(それに地震には強いが火災には弱いんで),書庫出納華やか?なりし頃は,大図書館で結構とりいれられてたんす。
しかしイマドキ図書館員も知らない「層」なんて用語を知ってるとは,どーゆーことだろう。