書物蔵

古本オモシロガリズム

中井正一(ナカイ・マサカズ)ってそんなにエライのかなぁ?

Amazonには著者も書き込みができる。よく小谷野敦氏が正誤訂正をカキコしているが…
中井正一のメディア論』にも著者の詳ー細なカキコがあるよ…
読んでみたけど,やっぱりワカラナイ… 著者自身のサイトもあるけど。
で。
今の私は「ワカランもんはワカラン。わからん時点でダメ,すくなくとも私には」というスタンスだし,「著者には解るように書く義務がある」とさえ思っているので,うーん,やっぱりだめだわ。
著者サイトによれば科研費本で印税ないらしいし,500部しか刷らないらしいから,珍しい本であることは確か。だからどっかで拾うようにはするかもしんないけど。
著者自身,メディア論(情報社会学)と歴史(伝記)のミックスって言ってるけど,わてならば,それはあえて切り離して別の本にする。
だって,どっちかでコケてたらそれがそのままもう一方へ直結しちゃう。
たしかに志半ばで死んだ国会図書館初代副館長,中井正一が立派なメディア論を持っていたんであれば,それはオモシロイことだとは思うけど,ちょっと早く死にすぎた。よくわからないというところがホントのところなのではないかなぁ。
さらにいえば,ちょっと誉められすぎではないかと。
初代館長の金森徳次郎が図書館管理者としては凡庸ないし拙劣だったということが明確になってきたところでもあるし。どうも知識人は国会図書館に夢をみすぎる気がする(ま,自分もかつてはそうだったんで気持ちはよくわかるけど)。
憲法違反の疑義があった支部図書館制度にしても,あれはLCの米人のアイデアでは…,とにかく歴史的な検証が必要。
もちろん,中井のつくった『図書館年鑑』のことなど,いろいろオモシロイ業績については,もっと明らかになってほしいけど,うーん,それはまず歴史研究としてまとめてほしい。まー,あちきとは学風(好み)がちがうですといわれちまえばそれまでなんすがね。
mittel と medium(なぜmediaという複数形じゃいかんのかなぁ)の差とか,弁証法の「媒介」とか,どうも抽象的にすぎる話がメインだからねぇ。
ただ,美学者(戦前)と図書館管理者(戦後)の2つの側面をつなげようとしているところなどは,よいと思う。あちきの図書館論にも,あちきが図書館趣味者でなかった時代の趣味が影響してるからねぇ。