書物蔵

古本オモシロガリズム

狩野亨吉と中井正一

昨晩は終電すぎまで飲む。久しぶりに強烈な二日酔い。自重せねば。
終日家から出られず。こんな日は本でも読もう
この前買った,日本の合理論 / 鈴木正. -- 現代思潮社, 1961. -- (現代新書)
を読むも,あまりよくない。やたらと社会主義用語がでてくるうえに,もってまわった長文で悪文。よみづらし。ごくごく最近まで,日本の言説空間では共産主義社会主義が支配的だったんで社会主義用語はしょーがないんだけど(それでもいきなり「ミーチン的認識論批判」とだされてもねぇ),長文でもってまわった言い回しなのは時代を超えて,あまり誉められたことではないよ。とくにこれ,「新書」なんだから。
社会主義用語でいちばん私のココロに残っているのは,友人に教えてもらった「ルン・プロ」。ルンペン・プロレタリアートのこと。日本語の「ルンペン」はそれからの派生語。本来,革命にむけて組織されていかねばならないプロレタリアートのなかでも,もうどうしようもないくらい自堕落で済度しがたい人々のことをいうらしい。最初の職場にルン・プロの見本のような人がいて驚いた。
あっさりと,前半の狩野亨吉の部分は読まないことにする。というのも,
狩野亨吉の生涯 / 青江舜二郎. -- 中央公論社, 1987.9. -- (中公文庫)
を某所で安く手に入れていたので,それを読めばいいかと。この中公文庫はものすごく厚い文庫本。この本のもと版は,紀田順一郎の『古書収集十番勝負』に小道具ででてきてた。
(追記)この文庫も3千円から5千円もつけてる店あるよ。中公新社は復刊すべし!
ということで,中井正一の部分を読み始めると,著者自身のことから話がはじまってた。
最初,師範学校にいって教師になったけど,レッド・パージでクビになり,さらに結核となって療養生活を経験。もともと中井正一に興味をもってたけど,「就職の手段にと思って受けた司書の講習」で中井正一の図書館論に開眼し,「司書の資格が役に立って,教師の仕事にありついた」んだそうな。
なーんだ,司書有資格者だったんだ。いまじゃ司書をとったからって就職なんかできないけど,できた時代もあったのかねー。1961年現在,中学教員とあるけど,アマゾンでみるとずいぶん偉くなってるこの人。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
鈴木 正
1928年、名古屋市に生まれ、1948年愛知第一師範学校卒業。1979年より名古屋経済大学教授、図書館長をへて1991年より副学長
狩野亨吉も中井正一もその後とっても人気がでたみたい。偉くなったのはそんな先物買いの目端のよさもあったからでは