書物蔵

古本オモシロガリズム

 岡田ナラウと磯村英一

東京大学文学部社会学科沿革七十五年概観. -- 東京大学文学部社会学研究室開室五十周年記念事業実行委員会, 1954  立ち読み 公文堂で三千円 買わず
何が判ったかって? このまえとりあげた岡田温(オカダ・ナラウ)の卒論の題名がわかりました。
昭和3年3月 岡田温 江戸時代の下層階級 だそうです。
で…。
それよりも重要なことが。
昭和3年3月の筆頭には,磯村英一というひとが…
磯村英一は,社会学者(都市社会学)の大立て者らしいです(わたしゃ知りまへん)。ですが,
このひと,図書館史でもちょっと重要なのです。NDL-OPACで,著者名にこれをいれ,タイトルに図書館をいれると…
国立国会図書館の課題 / 磯村英一,松浦総三. -- 白石書店, 1979.10
はい,出ました,これ。これは,古本屋でよくみる本ですが,国会図書館批判本(批判本特集はそのうちしますお)です。というか,このまえも,なぜ産経新聞はこの本をふまえて国会図書館批判をしなかったのか不思議です。右翼だろうが左翼だろうが役に立つモノを使うというスタンスこそ,必要なはずなのに。
で,岡田さんと磯村さんは,同じ大学の同じ学部を同じ学科で同じ年に卒業したのです。岡田さんは1970年代には,もう国会図書館にはいなかったのではないかと思いますが,この面識ありありのはずの二人に,なにも連絡がなかったと考えるほうが不自然ですよね。
なにかあったのでは…。知りたい(ここらへん,図書館史マニアでないとワカラナイ。一般の方にはすみません)。
さっそく便利で不便な『国会図書館五十年史・資料編』(CD-ROM)をば。「幹部職員検索」って機能。
整理局長(1948.5.31)〜同部長(8.26)〜受入整理部長(11.20)〜司書監(整理部づき1959.6.1,最後は収書部で1965.3.31マデ)
わかりやすく言いかえると,昭和23年に整理局長としてむかえられたが,昭和34年に司書監となり昭和40年まで勤務,ってこと。
この人物の活躍はまだまだ続くわけだけど,国会図書館では,昭和40年まで(というか昭和34年か)。
やっぱり磯村本のでるころには国会図書館にいらっしゃいませんね。岡田さんが磯村さんの運動にどのような感慨をもっていたのか,反発なのか共感なのか,これは調べてみると図書館史の舞台裏がわかるやもしれません。
ちなみに岡田さんは研究者としては図書館史専攻なんで,きっと平成時代の下層階級たる私の野次馬根性もゆるしてくれることでしょう。偉大なる実務者にして図書館史学者,っておそらく彼ひとりだけ。彼の教科書はいちばんおちついていて実は好きなんだす。
でももっと好きなのはこれ!