書物蔵

古本オモシロガリズム

 谷沢永一の文庫本

つぎの図書館本は… Bookoffで拾いました。
読書の悦楽 / 谷沢永一. -- PHP研究所, 1998.11. -- (PHP文庫)  「読書人の悦楽」の再編集
第二章「蒐書学序説」の初出が,マイナーな図書館雑誌なのでございます(失礼!)。『大阪府中之島図書館紀要』(12) 1981.3 とのこと。講演の記録らしい。この雑誌(紀要)のほかのマジメなもんならコピーしたことありますが,こんな記事もあったんですねぇ。意外意外。
そのせいか,話のまえふりに,自分の先生に図書館員もいた,天野敬太郎の押しかけ弟子になったんだとある。天野敬太郎は列挙書誌(体系書誌)のヒトなんで,ほんとは谷沢先生とはズレる気もしますが。でも,戦前の図書館員は,分析書誌「も」できるのが立派ということになっていましたからねぇ(戦後の図書館員は,いったい何ができるのが立派なのでしょうか)。
話のなかみは,主題書誌がわりにコッソリつかっている文献があるのに,学者は隠しているという話や,分析書誌学の話。書誌を軽んずる学者にかみついています。
あいかわらずきつい,でも,学者でなく図書館員ならおもしろく読めるかも。巻末の小笠原茂(文芸評論家)が,「方法論論争」について書いてます。国文学の大御所・三好行雄と論争したんだそうな。知らなかった(どうも文学および文学研究にうといもんで。小説読まないし)。